君を困らせちゃうから
「神楽ちゃんは沖田さんが好きなのね」
ブフオォ
「なっ何アルかいきなり!!ていうか好きじゃないアル!」
姉御の家で私と姉御と九ちゃんで所謂ガールズトークをしていた。
そして話題が恋ばなに移ったとき今に至る。
ケホケホ…
くそっ さっきお茶でむせちゃったじゃないか。
「そうだったのか…ドSと噂の奴だな」
「だっから!違うアル!」
「照れなくてもいいのよ♪」
「だからーっ!」
「そうか、チャイナさんは総悟が好きなのか!照れることはない。俺が協力してやろ「勝手に家に入ってんじゃねえゴリラアァ!!」ぐわふっ」
ゴリラもとい近藤のみぞおちに姉御の鉄拳が炸裂した。
「あと、勝手に会話に入ってんじゃねーよ。」
「女同士の会話に入るのは頂けないな。僕が制裁しよう。」
「まあ、ありがとう九ちゃん」
「いや…妙ちゃんのためなら」
…あれ?私、蚊帳の外?
じっと姉御と九ちゃんとゴリラを見ていると姉御がこちらを向く。
「あっ九ちゃん、ちょっと待って。」
制裁をしようとしていた九ちゃんの手が止まる。
「お妙さん!やっぱり助けてくれ―「助ける気なんてねーよ」」
「近藤さん、沖田さんは今、どこにいるんですか?」
「今日は巡回してるはずだが…総悟のことです。公園でのんびりしてんじゃないですかねぐぎゃふ!!」
一通り用件を聞くと同時に姉御の蹴りが決まる。
「神楽ちゃん、どうやら公園にいるようよ」
「―…だ、から何アルか?私は別にー…」
「大分前から思い続けてたんでしょう?もう、伝えてもいい頃じゃない?」
「…」
なんで姉御にはお見通しなんだ。
姉御は九ちゃんに制裁を始めさせる。
「…できない、ヨ」
ぽつりと呟くと姉御が振り向く。
───聞こえてた?
一瞬体が強張るけど、姉御には聞こえていなかったようで。
「早くいってきなさい。」
とりあえず志村家は出たものの…万事屋には誰もいないからつまらない。
結局足が公園に向かうわけで。
案の定バカサドはベンチにいつものように趣味の悪いアイマスクを掛けて座っていた。
「おいバカサド」
呼び掛けても無反応。
あれ?いつもなら反応があるはずなのに…マジ寝してる?
「おーい」
耳元まで近づけて話してみるが反応なし。
「…寝てるのカ…
寝てるよな…?
───…すき」
あ、今、私真っ赤だ。
やっぱり寝ている人には言える。
もし、起きていたら?
言えるわけがない。
今までの関係にひびが入ってしまうかもしれない。
そんなことを考えると胸がきゅうってなってしまう。
「好きアル。」
寝てる彼にもう一度告げて公園を後にした。
君を困らせちゃうから
そんなのはただの言い訳で、本当はただ臆病なだけなの。
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