今度こそ決着をつけよう
うららかな昼下がり
歌舞伎町の公園では爆音が響き渡る
「なかなか腕あげたじゃねーかィ」
「おめーもちったあマシになったアルな」
ゼーハー言いながら休憩をする新撰組一番隊隊長 沖田総悟と、最強民族夜兎 神楽
「うっし…そろそろ第2回戦といこうぜィ」
「望むところアル」
お互い刀と傘を握り戦う体勢に入る
ピピピ…ピピピ…
「「…」」
沖田のケータイからの着信音が鳴る
無視して続けようとしていたが3、4回かかってきたので流石に中断した
ピッ
「なんでィ土方さん。こちとら今大変なんで―…」
どうやら込み入った話のようでおちゃらけていた沖田の声が変わる
ピッとケータイを切ると「用事ができた」とのこと
「だからまた今度こそ決着つけようぜィ」
いつもなら、分かったアル とか 望むところヨ と言うはずなんだけど言えなかった
「…気をつけるヨロシ」
「なんだィ?いつもと違う受け答えだねィ」
沖田はそう言って笑うと走って行ってしまった
雪だ
ハアッと息を吐けば白い息が見える
歌舞伎町の公園はしん、と静まり返っている
「!神楽っ」
「…銀ちゃん」
「最近夜遅くまで帰ってこないと思ったら…何してんだよ」
探し回ってくれたのだろう
銀ちゃんの手は冷たかった
私はニコリと笑う
「待ってるアル」
「何を」
沖田を待ってる、と言った
「前までは朝から夕方にかけて待ってみたけど…もしかしたらアイツは夜に来るかもしれないと思って…」
銀ちゃんは少し黙ってから言葉を続けた
「…神楽、あのな」
「早く来いヨ。この神楽様が待っていてあげてるのに…」
「聞け、神楽。人間は一度死んだら生き返らない」
「止めてヨ、沖田は死んでない」
目を閉じてみれば沖田が出てくる
「神楽。お前は分かってるだろう」
「何を」
「俺は死んだら生き返らないと言ったが、誰が とは言ってねーよ」
銀ちゃんが滲む
頬が冷たくなる
私はガバッと銀ちゃんの腕にくるまれる
「ひっく…うっ」
涙を止めたいのに涙は止まることを知らない
「声を出して泣けばいい」
そう銀ちゃんに撫でられ、糸が切れたように声を出して泣いた
今度こそ決着をつけよう
今度なんて来なかったよ
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