衝撃スクープ
キャーッ!ワアァァ!
そんな歓声がドームに響き渡る。
今人気絶頂の女性ユニット歌手『超パフューム』、そして多大な評価を得ている大手歌手の『NOGUSOEL』…。
今回のライブはなんとその大手歌手二組が組んでいるのだ。
いつも以上の歓声に驚きと喜びを隠せない二組。
勿論今まで通り…いや、それ以上に歌やダンスに励み有意義なライブを送った。
そしてアンコールも終わった彼らは自らの控え室に戻って休憩をとっている。
「いやー終わったな!楽しかった!」
「そうですねィ。メス豚共のあの表情ったら…傑作でさァ」
「総悟、近藤さんが言ってるのはその楽しいじゃねぇ。つか、途中で近藤さん殴られなかった?」
「なあ銀時、あの超パフュームの九兵衛とやら、やはり俺とキャラ被ってなかったか?」
「安心しろ、被ってない。あっちのがしっかりしてる。俺的には新八の存在感のなさの方が心配だった」
「失礼だなオイ!」
そんなごく平凡な会話をしているNOGUSOEL。(上から愛の狩人こと近藤勲、ドS星の王子こと沖田総悟、究極のマヨラーこと土方十四郎、ズラこと桂小太郎、我らがヒーロー(笑)こと坂田銀時、志村新八こと眼鏡)
「あの、一応ツッコミます。僕の名前は眼鏡じゃねー!逆も嫌だが逆!」
「どうした新八。気でも狂ったか?」
「うるせー!………って…あの、後ろ…」
「あ?」
新八は二人分座れるソファーを占領して座っている銀時の後ろを指差す。
それを見かねた銀時は指された方向へと首を傾げた状態で顔を向ける。
すぐそこに顔があった。
赤渕眼鏡に泣きボクロ…
彼女にはツッコミが満載過ぎた。
何故天井から釣られている?何故縛り方がそんな変態的縛り方?何より聞きたいのは───
「テメッ!普通に不法侵入だろコレ!いつ入ってきやがった!?」
「旦那、俺がドア開けときやした」
「何故!」
「ダーリンッ!会いたかったわ!ライブ中に事故チューしようとしたのに照れちゃって顔面に拳を突きつけてきたけどあれは私に対する愛情表現。分かってるわ銀さん!あなたの本当にしたかったことはこれから二人で愛を育むこtグハッ!」
超パフュームのメンバーの一人、さっちゃんは銀時によって投げ飛ばされ、壁にめり込む。
しかし、これでめげる彼女ではない。何故なら彼女は極度の変態ドMなのだから…。
だが彼女が起き上がると同時にNOGUSOELの控え室のドアが開かれ、超パフュームのメンバーが集結した。
「…何やっとるんじゃ」
「壁が好きなのか?めり込む程に…」
さっちゃんにそう言いながら入ってくるのはクールビューティーで大人っぽい月詠、可愛らしくカッコよさも持ち合わせた九兵衛。
その次に入ってくるのは超パフュームのリーダー的存在で新八の姉、お妙と超パフュームのメンバー最年少の神楽。
「NOGUSOELの皆さん、お疲れさまです」
「おうクソッタレども。喜べケーキ持ってきてやったアル」
神楽はこれ見よがしに所謂ドヤ顔をし、ケーキの箱を置き、中から取り出す。
そのケーキに甘党の銀時は勿論、皆がケーキを囲む。
出てきたケーキはよくあるショートケーキ。
そして中々大きい。
「すげーな…誰が買ってきたの?」
「姉御アル」
「お妙さん!わざわざ買ってきてくださったんですか!ではこの俺、近藤勲とケーキを切り分けましょう!」
すかさず出てきた近藤は鼻息を荒くしてお妙に近づく。
それに対しお妙は拳の用意をするが、拳の必要はなかった。
お妙の前に立ちはだかった九兵衛により、近藤はピタリと止まる。
九兵衛は近藤を睨み上げる。
「僕の妙ちゃんに近づくな!ゴリラとケーキ入刀なんてさせん!」
「な…!言わせていれば…お妙さんはお前のではない!俺のだ!」
「いや、お前のでもねーよ、このクソゴリラ!」
「グボアァ!」
近藤はお妙に蹴りあげられ、天井と合体をした。
よくある日常なので誰も気に止めず皿やフォークの用意をしていた。
「じゃ、切り分けますか」
新八がケーキに入刀するその瞬時、彼の手元にはナイフが消えていた。
あまりの早さに誰もが呆然としているが消えたナイフの在処は直ぐに発見できた。
「銀さん、私と一緒にケーキ入刀しましょう!」
「お前か!予想ついてたけどな!」
銀時は「誰がするか」と冷たく言い放つ。
さっちゃんに至っては「ああ!いいわよもっと罵倒しなさいよ!」と自分の脳内に入り込んでしまった。
「オイ。いつケーキ食えんだよ…」
しびれを切らした土方に桂、沖田も声をあげる。
「早く切り分けろ。食えんだろうが」
「本当でさァ。早くしろィ」
「まあお前にはやらないけどナ」
「あ?やんのかガキ」
「望むとこアル童顔」
「妙ちゃん、一緒にケーキを切り分けよう。」
「いや、九兵衛と言ったか…?ケーキの切り分けは俺がする。ナイフを貸せ」
「ふざけるな。お前みたいな長髪黒髪…いや、男にナイフなど触らせるものか。穢れるだろう!」
「貴様…いいだろう元々キャラ被りしていたわけだ。ここでハッキリさせようではないか!」
「何してんだ…馬鹿?あ、死ぬのか」
二つの喧嘩勃発。
予想できていた展開に土方は呆れ溜め息を吐いた。
「何なのコイツら…ケーキは?たかが切り分けにどんだけ時間かけるつもり?」
「…オイ銀時」
「あ?」
銀時は名前を呼んだ主──月詠の方を向く。
月詠の手にはナイフがあり、何か言いたげな動作をしていた。
彼女もまた「ケーキ入刀」の言葉を発したい一人である。察しはつくだろうが、彼女もさっちゃん同様銀時にそういう感情がある。
銀時には気づいてもらえていないのだが。
だからこそ言葉を発することを躊躇っていた。
その躊躇いに「どうした?」と銀時が動く。
「え、あ……ほら。お前が切りなんし」
月詠は銀時にナイフを差し出した。
「主が切れば誰も文句は言わないしケーキも食べられる」
「…それもそうだな」
銀時はナイフを受け取り、ケーキに近づける。が、すぐに切ろうとしなかった。
「銀さん?切るなら早く切ってくださいな」
流石に我慢の限界なのかお妙が銀時に促す。
銀時は「わぁーってる」と真剣にケーキを眺めるが一向にケーキに入刀しない。
「…」
「…はいはい。切れないなら切れないって言ってください。」
「き、切れねー訳じゃねえ。均等に切り分けるのができないだけだ」
「一緒よ。ほら貸して」
「いーやーだ!」
変なプライドがあるのか、断固としてナイフを渡さない銀時。
それにしびれを切らしたお妙は「もうそのままでいいわ」と言い、銀時の手の上から自分の手を添えた。
そしてケーキ入刀───…
「!?」
その場にいるお妙大好き二人…近藤と九兵衛、銀時に恋する二人…さっちゃんと月詠はケーキを切り分けている二人に目を瞬かせる。
「ちょ、ちょっと!お妙さん!?抜け駆けなんて良い度胸じゃない!」
「万事屋…じゃなくて銀時ィィ!お妙さんから離れろ!」
直ぐ様声をあげたのは求愛行動の激しい二人。
行動力も素早く、銀時とお妙の間を阻止する。
しかし銀時とお妙の発言にさっちゃんと近藤は行動を止める。
「そろそろ言うべきかな…。悪いな、さっちゃん」
「へ?銀さん?」
「…黙ってましたけど私たち大分前から、その…」
「え?え?お妙さん!?」
「正式に付き合ってる。だから俺はお前に応えられない。…それと、お妙に触んなやゴリラ」
銀時はそう言うとグイッとお妙の腕を引き寄せる。
あまりに突然すぎる告白に今度はその場にいた全員がピタリと止まる。
「そんな…妙ちゃん…」
「ごめん、ね?九ちゃん…」
「へえ?旦那と姐さんが、ねェ…」
「ま、私は知ってたアル」
「僕も知ってたけどね…いざ言われるとやっぱムカつくなあ…」
「察しはついてたがな」
「俺は気づかんかったぞ?不思議と驚きは少ないが…」
「…知らなかったでありんす…。」
そしてさっちゃん、近藤はあまりにショックだったのかしばらく放心状態だった。
衝撃スクープ
・超パフュームとNOGSOELという人気歌手設定でさち&月→銀妙←勲&九
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