ゲームの始まりだ
何の風変わりもない学校
いつものように取り巻きの女が周りに集まる
女といるのは楽しい、が飽きたのかと聞かれれば答えは「はい」だ
まず、周りにいる女はみんな似たような性格の騒がしい奴等だ
変化無さすぎ
と言っても大人しい清楚系な女ともそれなりに遊べたが…
なんかつまんねーな…、と心底思っているとクラスがざわめいた
「何、どうしたの?」
自分の取り巻きに様子を伺えばわくわくした目で俺を見る
「だから、転校生が来たんだって!」
「てんこーせー?」
俺は興味無さげな声を漏らし、取り巻きは「どんな人だろ」と顔を綻ばせていた
「何だァ?俺じゃ不服?」
そう言って距離を近づければ「違うよ〜」「別に男を求めてる訳じゃないから〜!」「銀時レベルの男なんてそうそう居ないし」「そんな期待してないからね」と否定の言葉が羅列される
しかしながらも、あははと笑い目を輝かせてる取り巻きには心底呆れる
そして自分も空気を読んで笑顔を取り繕う
あーあ、たかが転校生で盛り上がることができるのか…
取り巻きをはべらせながら携帯をいじり出すとメール受信の合図
From ズラ
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転校生、女だって(照)
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案の定、ヅラこと桂小太郎──…一応友人からのメールだった
何なのコイツ、バカなの?なんで照れてんのバカなの?バカだろ
「どしたの銀時?」
「んー…なんか転校生、美女だってさ」
「え…」
怪訝な顔をしていた俺に笑いながら声かけてきた女は俺の台詞に暫く固まり、怪訝な顔つきをし出した
出た
女って怖いねー、美女ってのは知らないけどその言葉だけで嫌そうな面
自分より可愛い奴は認めないっ!て感じだな
まだそいつを見てすらいないってのに
やっぱ前言撤回
女は飽きない。馬鹿すぎて面白いよ
「お前ら席着けー」
ガラッと教室の扉を開けたのは担任だ
その後ろにはもちろんのこと転校、生…
しーん…
この教室の今を表すにはこれががあっているだろう
皆、転校生に目が留まる
黒髪ポニーテールに整った顔つき
ピンとした背筋に白い肌
「モデルでもやってるんですか?」と聞きたいくらいな彼女に息を飲む
「…席着け。坂田の周りのお前らだ。さ、君も自己紹介をしてもらおうか」
担任の言葉に取り巻きたちは舌打ちしたり嫌そうな顔をしながら席に戻る
その睨んだ目付きの先は担任なのか転校生に向けたものなのか…
そんなことはお構い無しに転校生は黒板に名前を書く
し…むら……たえ…?
「志村妙と言います。よろしくお願いします」
そう言ってにこっと顔を綻ばせる彼女
ほとんどの男子は少し照れたような、ベタに言うなら目がハート状態
女子の一部はあからさまに嫌ですオーラがだだ漏れ状態
うん、感情をすぐ表に出す奴嫌いじゃないなあ、なんて陽気に考えるフリをする
そう、フリをしなければ
平静を装うべきだ
でなければ、気が緩んで周りの男子と同じになってしまう
何故それが嫌なのかは分からない…負けた気がするからなのか、何かもっと別の感情があるからなのか───…
朝のHRが終われば必然的に転校生の周りに人だかりがおきる。それは男子だったり女子だったりとまちまちだが
そんな中俺の周りに来る取り巻きはあまり転校生を好いてないご様子で
「銀時、あいつ美女じゃないじゃん」
「なんかキツそうな性格だよぉ」
「あんなんがいいの?」
取り巻きの視線と変な誤解を鼻で笑う
誰がいつあの女を好きになったと言ったんだ。アホらしい
「あのさ、長年仲良くやってんだから気づいてほしいなぁ」
愛想笑いを浮かべて取り巻きを見ると「あ、ごめんごめん」と笑い出す
別に理由を彼女たちは口にしない
それが暗黙のルール
女はただの玩具。遊び道具に過ぎない。惚れさせたら終了の楽しいお遊びをするためにある
「じゃあ志村さんは遊び道具にしちゃうの?」
「…どうすっかな…」
ふと転校生、志村のほうを見る
彼女の周りにもすでに沢山の男が囲んでいた
もちろん女子もいる
何だか変な感情にとりつかれる。それがなんなのかは知らないが
ガタッと席を立てば取り巻きが「え、どうしたの」と焦り気味に聞いてくる
「次の玩具決定。落とした後の絶望した顔、早く見てみてェ」
平然と、あくまでもそれは遊び道具に興味があるだけ
彼女への興味では断じて無い
「志村、妙さんだっけ」
「え…」
「坂田銀時。よろしくな」
ゲームの始まりだ
楽しもうじゃないか、あくまでこれはゲームなのだから
・転校生モテモテ妙に一目惚れモテモテ銀さん
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