非日常はまた再び
※続編*非日常は突然に
「こんにちは、銀八さん」
「…あ、はい。こんにちは、お妙さん」
「お久しぶりです、銀さん」
「…あ、はい。どうも、妙さん」
何てこった、と銀時と銀八が肩を落とす
二人の隣にいる彼女、和服のお妙と制服の妙はニコッと笑って現状を理解していた
「また会えるなんて、驚きですね」
「そうですね、しかも学校内」
そう、今度は歌舞伎町の源外のお陰で銀時とお妙がパラレルワールドの銀八、妙の世界に飛ばされたのだ
そして銀時、お妙は3Z教室の前に立っていたという…
マジかよ、あのじーさん色々すげーわ
銀時と銀八はお互い同じことを考え納得していた
一方の彼女たちは事態に全く動じず、ガールズトーク真っ最中
こういうときの女子の臨機応変さには流石と思う
え?何か色々言葉の使い方間違ってないか?
いんだよ、雰囲気で察してくれや
「それより困ったな…」
「何が?」
銀八が気だるい声で焦りを出すので銀時は首をかしげる
銀八は小さくため息をついてガラッと教室のドアを開ける
唖然
開けたと同時に新八、神楽が出てくるではないか
いや、出てくるってか落ちてくる
「わわっ、と…銀ちゃん先生が二人!?」
「姉上も!!」
新八、神楽の一声によりクラスのみんなも騒ぎ出す
ああ、こりゃ確かに困ったな、と銀時も悟る
相変わらずの自分達の恋人はただの笑い話で話していた
「へえ、新ちゃんはここでも姉上って言うのね」
「へ?」
「ええ。私は昔っぽいからお姉ちゃんにしてっていってるのに」
「あ、姉御?」
「まあ!神楽ちゃんはここでも姉御って言ってくれてるんだ」
「ええ、慕ってくれて可愛いったらないわ」
「「…」」
多少の戸惑いはあれど彼女二人は普通に打ち解けていってしまった
え、置いてかれた気分だ
疎外感を感じ、廊下に突っ立っている二人だったが銀八はハッとして教室に入ろうとする
が、それを銀時が阻止する
「おい、そこをどけ!俺」
「嫌ですぅ!俺、ぼっちになるじゃんッ!!淋しいじゃん!」
「知らねーよ!俺、この世界の住人…3Zの担任だからあ!」
「ざけんな俺エェ!!お前はそんな男じゃねーだろ!!」
「お前が一番知ってんだろーが!!俺はこんな男ですう!!」
そんな風にギャーギャー騒ぐとガタンッと椅子の倒れる音がする
「先生が二人…性格も全部一緒なんて…萌えるじゃないのオオォ!!せんせええ!!」
「「失せろ雌豚アァァアアア!!」」
勢いよく駆け足で近づいてくる猿飛あやめ、通称さっちゃんを足で蹴飛ばす
「ああんっ!二人ともドSなんてッ!そういうプレイなのね。いいわ、ノってあげる!!もっと蹴りなさいよ、罵りなさいよォ!」
「そんなプレイしたことねーから」
「ここでもさっちゃんはこんななのね」
「てことはそっちの世界もか…苦労するな」
はは、と苦笑いをかます二人
すると一方の女子お二方のほうが騒がしい
なんだ、と銀時、銀八が様子を伺えば近藤勲が倒れているではないか
「…おいおい、志村ァこりゃ殺りすぎだ。いつもの倍殴っただろ」
銀八は妙の頭を小さく小突く
銀時は「生きてるかー?」と言いながらペチペチと近藤の頬を叩く
「銀ちゃん先生、姉御のパワーはいつも通りヨ。二人いたから倍になっただけアル」
神楽の言葉を聞き、銀時は自分の彼女であるお妙を見る
お妙はにっこり笑顔で拳を握って構えの姿勢だった
「…お妙、お前なぁ…」
「だって、『お妙さんはどちらも美しいです!!』なんて当たり前のことを言いながらキスしようとしてきたのよ?」
「そりゃ、殺しとかないとな。お妙のキスは俺だけのもんだ」
「いやいや待てよ!?えっと、銀時さん!?多分今の発言はあなたの世界の俺が許さないと思いますけど!?」
「ああ、安心しろ。許可はこれから貰う」
「もうあんなこともこんなこともしましたけどね」
「向こうの僕の代わりに僕があなたを殴ります!」
「わわ、新八待て!タンマ!」
まさかの新八に胸ぐらを捕まれたことに驚き、咄嗟に腕をクロスさせ防御する
「それは自分の世界のぱっつあんにやってもらうから!!ていうか、あっちの世界の俺がお妙とそういう仲なんだぞ!?」
新八はその発言にピクリと反応し、銀時の胸ぐらから手を離す
そして新八の目先の方向はもう一人の銀髪頭───そう、銀八のほうへ…
「先程姉上お二人にパラレルワールドのことは聞いていてその世界は時代は違えど人や性格、全てがリンクしてるって聞きました」
新八の近づきに銀八は一歩ずつ後ろへ下がる
顔を真っ青にしながら
「ま、待て新八。話せば分かる!!俺だってそろそろ許可を貰おうとしてたんだ!いや、マジで!!」
「僕、まだそんなことまで言ってなかったんですけど…認めたな?姉上と付き合っててあんなことこんなことしてたことをオオォ!!」
「待て新八!話を!!」
「新ちゃん、そんなこともしたわよ〜」
「ちょ、妙!?」
「銀八イィ!!」
「先生を付けなさ、すいません!マジで!!ギャアアア!!」
外野はそんな新八と銀八のスプラッタを目撃し、固まっていた
そしてもし自分の世界、すなわち歌舞伎町に帰って新八にバレたら…
そんなことを脳内で巡らせ背筋を凍らせたのは銀時
どこかウズウズした表情を見せているのはお妙だった
非日常はまた再び
さて、銀さん
何だいお妙さん
源外さんの実験に巻き込まれに行きましょうか
嫌だアア!!まだ死にたくねええ
巻き込まれた位で死にませんよ
そっちじゃねー!って分かってるだろ、お前!!
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