気づいたのなら
銀時side
「銀ちゃんって妙に姉御のことを気にするアルな」
きっと神楽にとって深い意味はなく、なんとなく言ったことなんだろう
別に俺も焦る必要はない
はずだが…
心臓がピクリと跳ねた
「…何言ってんだ」
「何アルか今の間」
「い、いきなり言われりゃ誰だって思考が止まるだろ!?」
何故だか妙にどもって早口になり、怒ったような口調になってしまう
それを見た神楽はぷっ、と笑う
「…何だよ」
「いや、何でもないアル」
「意味わかんねー」
段々投げやりなやり取りになってくると神楽の一言でまたも心臓が跳ねる
「姉御、ゴリラの交際を認めようか迷ってるネ」
「ふーん、いんじゃね?ゴリラも報われるし、道場も安泰じゃねーか。良かったな」
いや、何が良いんだよ!!
なんか胸くそ悪ィ…
そもそも何でゴリラ?
今まで拒絶してたじゃん
何?ツンデレってやつ!?
一人悶々と考えていると神楽は更に一言
「実はマヨラーにも告られてるらしいアル」
「あっそ。土方くんも趣味悪いねェ…ま、関係ないけど」
なんで土方アァ!!!?
あいつと絡みなんて合ったわけ!?
どこら辺に絡みがあったんだよ!?他人じゃね!?
イライラムカムカ…
本格的にムカついてきた
「銀ちゃん、銀ちゃん」
「あぁ!?」
「なんで怒ってるアルか?」
「お前がお妙に男共が交際求めてるってのを教えてくるからだろ」
「どうしてそれを銀ちゃんが怒るアルか」
「決まってんだろ!?アイツが好きだか…ら…」
腹立たしくて勢いで言ってしまった
…俺、今何つった!?
俺が、お妙を、好…
「あああああ!!!!!!」
「銀ちゃん、うるさいネ!黙るヨロシ!!」
「おまっ、フザけんなアアァ!!!!」
「私は何もしてないアル!!」
確かにそうだけども!!
でも!!
「銀ちゃん」
「…んだよ!?」
「気づいたことがあるなら今すぐに姉御に伝えるべきアル」
何言ってやがる!
そんな恥ずかしいこと、できるかよ!!
「…こうしてる間にもゴリラやマヨラーの交際アタックは…」
そこまで聞くと俺は玄関まで走り、靴を履く
「姉御は志村家にいるはずアルよ〜」
後ろからの神楽の助言を聞いて、颯爽と万事屋を飛び出した
気づいたのなら
手のかかる奴アル!!
ゴリラの交際を姉御が認めるわけないアル
マヨラーにいたっては知り合い以上友達未満なのに恋に発展するわけないアル!!
これぐらいの嘘、見抜けるのなんてわけないアルのに…
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