言葉の裏側
ズズー
本日30回目のイチゴ牛乳を啜る
ここは万事屋
今日は仕事もなく、神楽は近所の友達のところへ、新八はお通ちゃん初回限定CDを買いに行ってしまい必然的に俺一人になる
寂しいのもあってお妙を万事屋に呼んだ
久々の二人きり
甘甘なムードが流れることを信じて疑わなかった
疑わなかった
疑わなかった、のに…
「銀さん、お邪魔しまーす」
「お邪魔します」
「邪魔しやす」
「邪魔するぞ」
…なんだ今の余分な3人の声は
見れば居たのはお妙にボコボコにされ、それでも尚お妙の荷物持ち係をしている近藤
その後ろに風船ガムをクチャクチャと食べて近藤を見守る沖田
その隣に近藤を心配しながらも俺を睨む土方
「…何でいるんだアアァ!!!?」
つい大きな声を出す
「いいじゃないですか、賑やかで。じゃ、ゴリラは帰りなさい」
「お妙さんの身に何かあってはイカンからな。護衛だ護衛!な、トシ」
「どちらかと言うと近藤さんがこれ以上危険な目に遭わないようにする護衛だな」
「旦那、チャイナどこですかィ?バトる気で来たんですがねィ」
みんな自由なこって
みんなが主旨違うじゃねーか
「帰りなさい、お妙がいればもう誰もいなくていいから」
ゾロゾロと上がってくる3人を追い出そうと声をかける
「お妙さんがいる限り帰りません!」
「近藤さんが帰らねェなら帰らねェ」
「おもしろそうなんで帰りやせん」
玄関でもめているとお妙がみんな居ればいいじゃない、と提案し結局3人を入れることになった
そして冒頭に戻る
あれから時間は経っているがお妙は俺に向くわけでもなく、土方や沖田を相手にする(近藤は気絶中)
「姐さん、なんか今日はやけに綺麗じゃねーですかィ」
「あら、ありがとう沖田さん」
お妙は沖田に笑みを浮かべる
ああ…なんかムカつくなぁ
「確かに。化粧してねえか?店とは違う感じに」
「分かりますか?」
ニコニコと話す二人
俺だって気づいてたさ
会った瞬間なんか違くね?って
先に言ってんじゃねーよ、マヨネーズ馬鹿
ムカムカと苛立ちが募る
お妙はその様子に気づいたのか俺に声をかける
「銀さん?どうかしました?」
「…別に」
口を尖らせてソファーに座っているお妙に背を向ける
「?どうかしたのかしら…」
クソッ!鈍感女!!!!
いや、そんなとこも嫌いじゃねー…むしろ可愛くて好きだけど!
「…分かった気はするがな」
「そうですねィ旦那も大変ですねィ」
沖田の顔は見ていないがきっとニヤニヤとこちらを見ているんだろう
ドSの勘ってやつだ
「姐さん、旦那は俺らに帰ってほしいらしいんでさァ」
はい、その通りで
「だから帰りましょう姐さん。ついでに屯所にきやせんかィ?」
うんうん…うん!?
グルリと後ろを向けば土方はハア、とため息をつき近藤を担ぎ、沖田はお妙を連れ去ろうとしてるではないか
「待て待て待て!!!!」
玄関に出る寸前でお妙の腕を掴み、自身に引き寄せる
「銀さん…?」
「どうしやした旦那」
ニヤニヤと笑う沖田に睨みを効かせお妙を抱き締める
「ちょっ、銀さっ…」
「こいつは俺んだ。手ェ出すんじゃねーよ」
「へえ…?そうなんですかィ知りやせんでした。」
沖田は挑発的な笑みを見せる
「止めろ総悟」
土方は沖田の後ろの襟を引っ張る
「何すんでィ」
「邪魔したな」
土方はそういうと万事屋からみんなを連れて出ていった
「銀さん?」
「…何」
「いつまで抱き締めてるんですか。痛いです」
お妙にそう言われ力を緩め、手を下ろす
「何を怒ってたんですか?」
「怒ってない」
「…そう。じゃ、お茶でも飲みます?お茶菓子、持ってきたわよ?」
「飲む」
できた女だ、しみじみ思った
これでもちっと鋭くなってくんねーかな、とも
言葉の裏側
本音はなかなか言えないのを気づいてほしい
妬いてるのを察してくれてもいいんじゃないか?
※ヤキモチやく銀さんとそれに気づかないお妙
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