プロローグ




ーーーガラガラガラ



なん、だ?この音。




ーー心肺停止!血圧下がってます!
ーー早く!心マやれ!
ーーは、はい!







誰の、声だ?







ーーお母さん!お母さん!!
ーーこら!離れろ!
ーーだって、お母さんが!





この声……聞いたこと、ある……













ガバッ!!


飛び起きて周りを見渡すと、それはいつもと変わらない景色だった。
すやすやと眠る隣の布団の悠一郎を起こさないように、そっと部屋から出る。




廉はここ最近、この夢ばかりを見ていた。

やけにリアルで、他人事ではないようで、だからって予知夢のような感じもしなかった。


だけど、分からない。


ごめんなさいがいっぱい出てくるんだ。




「う、ぅ……おれの、泣き虫っ…」



泣いたって何にも変わらないのに。

どうしてだろう。

怖いわけじゃない。
どちらかというと、悲しいんだ。




ポトリ、ポトリとあふれる涙が、
床に染みをつけて消えていく。



ふぅ、と落ち着くと急に眠気が襲ってきて、それに勝てなかった廉は、パタリとソファで横になって眠った。









ごめんな………廉………





誰かが、
おれの頭を撫でて、
そっと抱き締めてくれた気がした。



頬に感じた暖かい雫は、




その誰かが流した涙なのかな。








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