07


 

 天使と別れた後、俺は猫を抱えたまま急いで家に帰った。幸い母親はまだ仕事から帰っていなかったようで、とりあえずソファの上に猫を置いてから、慌ててパソコンで調べ物を始めた。

 あの制服はどこかで見たことがある。俺の記憶が正しければ、有名な高校のはず……。

 検索ワードを三回ほど変えて検索を続けていると、やっとヒットした。ホームページを開く。

 『桜凛高校(おうりんこうこう)』。全国一の偏差値を誇る、秀才だらけの高校だ。東大入学者の八割が、ここ出身であるという噂も流れている。

 無縁な俺ですら、名前ぐらいは知っている。インターネットの情報によると、男子校らしい。
 
 ……男子校?
 
 俺は、画面の文字を十回ほど読み返した。
 
 いや、男子校なわけがない。あんなに可愛い子が、男の子なわけがない。どう見たって女の子だ。それに、男が男に一目惚れするわけがない。
 
 天使の微笑を思い出しながら一人うんうんと頷いていると、なぜかぼんやりとあの時見た光景が蘇ってきた。
 
 天使は確かにこの制服を着ていた。それは間違いない。ただあの時……確か……。
 
 思い出した瞬間、頭の中が真っ白になった。




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