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何をしているのだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
今の僕は、この街に来た意味を見失っている。
ただ人の波に流されているだけの日々。
何の意味もない、同じ毎日。
これで、生きていると言えるのだろうか。
そう思った瞬間、真っ黒な何かが胸の中にどぷりと広がるのを感じた。
まただ。
無意味だと分かりつつも、服の上から胸の中央辺りをさすってみる。
実は最近、この感覚に悩まされていた。
それは、何の前触れもなく、突然やってくる。
どこかが痛んでいるわけでもないのだから大したことはないのだろうが、この症状らしきものが現れた後は、少しだけ気持ち悪くなるような気がする。
胸の奥底に広がっていく、得体の知れない黒い何か。
それと同時に芽生える不安は、この黒いものの正体が掴めないからだと思いたい。
「次は、池袋。池袋。お出口は、右側です」
無機質な女性の声でアナウンスがかかった。
無意識に下げていた視線を上げると、車両のドアが開いて、人の波が押し寄せてくる。
すでに満員状態だ。
しかし、東京人は諦めることなく乗り込んでくる。
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