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体に強い痛みを感じて、はっとした。
線路に落ちたということを理解するのに、時間はかからなかった。
駅員が何やら叫んでいる。
早くホームに上がらなければ。
慌てて立ち上がろうとしたが、体が動かない。
金縛りにあっているかのように、微動だにしないのだ。
恐怖が、胸の中に急速に広がっていく。
目の前に迫りくる車体。
耳をつんざくような警笛。
人々の悲鳴。
視界が黒く染まっていく。
――嫌だ。死にたくない。
そう思った瞬間、僕の意識は、真っ暗闇の中に放り出された。
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