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「ドータチーン!!」

いやに上機嫌な声が門田を後ろから呼んだ。なんだ、と返せば、変わらずニコニコしながら「化学一緒に行こう」と言ってくる。何だか知らないが何か良い事でもあったんだろうな、と思いつつ、ああ、じゃあちょっと待ってくれ、と言ってから読んでいた文庫を閉じて机の中から教材を取り出す。あ、俺も取ってくるからちょっと待っててー、と言って臨也は小走りに自分の机に戻っていった。相変わらず落ち着きのない奴だな、と、臨也のこういう所を見ると少し微笑ましく思ってしまう。そうして二人揃った所で歩き出した訳だが、なんだかやっぱり上機嫌な様だ。いや他人から見ればそこまでには見えないだろうが自分はそれなりに付き合いがあるので、そういうのもなんとなくわかる。なんとなく、今日の臨也は機嫌が良い。



たわいもない話をしながら、というかほぼ臨也が話して自分がそれを聞いて返事を返して、という感じで理科室に着く。授業が始まるまではそのまま話して、始業のチャイムと共に二人定位置に着いた。そうすると臨也の顔は無表情になる。それを見ると、俺もそれなりに臨也が気を許す相手なんだな、とまたも微笑ましくなり、苦笑が漏れそうになった。

誕生日関連だろうか、とは思う。そう、ちょうど昨日は臨也の誕生日だったのだ。とは言っても臨也は誕生日だからと言って気にするタイプではないのも知っていたので、そうだと決め付ける事もできない。それとは関係ないところで何かあったのだろうか、と思うとまたろくでもない事で上手くいきでもしたのかと思うが、今日の臨也はそんな風な様にも見えない。むしろ、今時の高校生には珍しいくらいの、素直に嬉しそうな表情だ。まあそれでも臨也はどうでもいい事に関しては素直だが重要な事に関しては全てポーカーフェイスなので、あからさまに覗かせてはいないが。(とは言え現に、少なくとも自分には隠しきれていないけれども)


何はともあれ、臨也はまあしょうもない奴だが周りの奴の機嫌がいいと俺も気分が良くなるもんだ、と思って、俺は授業に集中する事にした。




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