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ぱちり
目をさますといつもの部屋にいた。あぁまたいつもの夢かと1人納得する。
夢の中で目を覚ますなんて変な話だけど。
それよりいつもと違うのはいつもは自分以外にも人間がいるのに今日はそれなりに広い部屋に名前しかいないという点だった。
それにいつもより感覚がしっかりしているような…
「おい、1093番。ついてこい」
いつもの様に言われるがまま、いつもの道を行く。
なんだかいつもよりリアルだ。足の裏まで感覚がある。
ガシャン、と重い扉が音を立てて開くそこにはどくり、どくりと脈を打つあの大きな機械があった。真ん中には鞘に収められた1つの刀剣が浮いている。何時ものように座らせられる。
いつもと違うのは見下ろしてくる男達がはっきりと見え、数が多いことくらいか。
椅子から出てきた手枷、足枷が名前の体を拘束する。起きる気配はない。
やっと夢の続きが見れるのか、と少しの恐怖と大きな好奇心で次の瞬間を待った。
そして男の中でも偉そうな姿の1人が合図を送り装置が動き出すと名前の全身に駆け巡ったのは形容しようもないほど凄まじい痛みだった。
「ッ!あぁぁぁああっ!!いっだい!!ぁあっ!!!」
力が抜けていく、のに体は強張る。
一体何をされているのか。全身に雷が直撃したかのようだ。何故、夢の中の筈なのにこんなにも痛みを感じるのか。目の前がチカチカする。
「あ"あ"ぁぁぁっ!!クッ…ぅぅうう"う"あ!!ぁぁあ"!」
そうした時間がどれだけ経ったのか、或いは数秒だったのかも知れない。
薄く開けた視界のうちにいる男達は名前の上…日本刀があるであろう球状の水槽のような場所を見ながら声を上げる。
何を言っているかはわからないが気を失いそうになるたびに頬を叩かれた。
そうして何分間かが経過した。装置は突然その動きを止めた。
痛みから解放された名前の耳に届いたのは数人の息を飲む音そして歓声だった。
まさか、本当に、これで…、やはりあれには…、口々に何かを言っているがもう耳が機能しないようで。
名前が意識を失うその時に一瞬紅い瞳がこちらを心配そうに見下ろしているのが見えた。
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