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さて、菖蒲さんには協力するといったけれど何をすればいいのだろう。
あの日、菖蒲さんに話しを聞いてから今日でぴったり1週間が経った。
病院ってのは200年経ってもあまり変わらないのか私向けに2016年度仕様なのかそれっぽい食事にそれっぽい検査を毎日行った。
しかしそろそろ元気になった私は外に出てみたい様な気も。こっそり外の様子を見ても良いかな、安静にとは言われたけど動くなとは言われてないし…よし。


スリッパを履き羽織をはおって、扉に手をかける。いざ、行ってきます!と引き戸を引いたつもりだったがその扉は名前が開けるより早く開いた。

目の前にいたのは赤いストールを巻いた黒い髪の美人。じゃなかったイケメン。

大きな宝石のように赤い目をこれでもかと大きく見開いている。多分私も今似た様に目を見開いてるけどこんなに可愛く目を見開くってスゴイ。
先に我に返ったのは美人の方で、大きく見開いていた目を少し吊り上げて私の手を掴んだ。

「ちょっと!!何立ち歩いてんの!!安静にしてろって医者に言われたんじゃないの?!てか元気そうで良かった、体大丈夫!!??」

これは心配されているのだろうか。
スタスタとベッドの方へ連れて行かれたかと思うと「寝て!」と言われ大人しく従う。
え?だって美人にだったらどんな理不尽なこと言われても聞いちゃわない?なんか美人マジックというか、言葉に覇気があるからさ、断れないんだもの。

何が何だか分からないうちにベッドでまたゴロゴロする羽目になってしまった。

美人さんはベッド脇にある椅子に腰掛けて私に爆弾発言を落とした。

「俺、加州清光。川の下の子、河原の子ってね。扱いにくいけど性能はピカイチ。これからよろしくね、主!」

「あ、私は苗字名前です…って主??」

「そー、あれ?主、政府の奴らから何も聞いてないの?」

「残念ながら…何も…あ、歴史修正主義者と対立してるとかなんとかは聞いた、かな」

「あ〜っと、俺説明向いてないんだけどな…。政府の説明曰く、俺たち刀の付喪神なんだけど、そのしゅーせー主義者と戦うの」

「誰が?」

「主と、俺たち?」

「あ、私も?」

「うん、だって今のところ主しか俺たち降ろせる人間いないもの。俺たち刀剣男士って言うらしいんだけど、本霊をまず主が降ろして、そこから分霊つくって審神者も量産していくらしいよ。だから主が審神者第1号だっておめでとー」

「ありがとう?て、いうか今サラッとスルーしそうになったけど…か、しゅうきよみつ君は神様なの?」

「うーんまぁそんな感じ、てか清光って呼んで!」

「そんな感じ!?アバウトッ!」

え、私もしかして今大分神様に対して失礼なことしてるのか…!ハッとして加州じゃなかった、清光君に謝るがいーよいーよと軽く流された。
そこへ扉の開く音が聞こえ目をやるとスーツをきた政府の者と名乗る知らない人が。

彼の説明と清光君によると手っ取り早く私には刀の神様を人にする力があって、この前無理やりやらされた時に出てきたのが清光君だという事。そしてこれから少なくとも40数振りは降ろさねばならないという事だった。

どうやらこの1週間清光くんは分霊を宿すための刀の制作のためにいろいろ政府とお話ししていて私の元に来るのが遅くなったらしい。

そう言われてみればあの日気を失う前に彼を見た気がしなくもない。あんまり覚えてないけど。

それから政府の方は本丸のご準備が整いました。と告げる。

「ほんまる??ってなんですか?」

「本丸とは貴女様と降ろされました刀剣の方々に暮らしていただく仮住いですが城のことです。今はまだ開発中なので不可能ですが今後そちらから各時代へ跳べるようになると言われています。そして貴女様は前例がない為に多少不便もあると思いますが逐一不便も報告していただけると改善に繋がりますのでよろしくお願い致します。」


では参りましょう。と私たちは本丸に向かった。

「(え、今この人城っていった?)」

不安になりながらもなんだかよくわからん扉を潜るとそこにあったのは大きな日本家屋。確かに城だった。大阪城や名古屋城と比べると城のミニバージョンってとこか。それでもデカイぞ。
見上げて固まっていると政府の方から急かされた。
彼は一通り中を説明すると「では、」と帰ってしまった。



こうして刀の付喪神様だという清光くんとの2人暮らしが始まった。

清光くんと2人で暮らすにはこの家は少し大きすぎるけど





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