さん

一通り全員の来たルートや、経緯を説明し終えてから捜索のメンバーを決めようという流れになった時また出入り口付近で話す声が聞こえた。

「押すなっつってんだろ火神ぃ!」

「スンマセンっス」

「ねーお菓子ないのー?俺腹ペコー」

「お前は少し我慢するアル」

「桃井さん大丈夫ですか?…はっ!僕なんかが心配してスミマセン!!」

「私は大丈夫だけど、桜井くんの方が心配だよ」

「森山先輩そんなにくっつかないで欲しいっス!」

「くそぅ、本来なら俺がかわいい女子にひっつかれる予定だったのに!仕方ないから黄瀬に抱きついてんだ!喜べ!」

「うれしくないっス!!」

「今日ラッキーアイテムが手に入らなかったのがいけなかったのか…俺が、ラッキーアイテムを手に入れられなかったせいで不幸が…」

「んなこと言ったら大抵の人間が不幸だから気にすんなよ」

「つーか赤司どこー!!レオ姉ー!!」

「うるせぇ!大声出すな!」

「え、あんた誰?」

「霧崎の山崎だって…この自己紹介3回目!!」


入ってきたのはおそらく残りの12人。

こちらがここにいることを知っていたようで向こうは特に驚いた様子はない。

「あ、やっぱり青峰君いた!良かったぁ…」

「さつきっ!良も…お前ら無事だったか」

「赤司ー!!レオ姉ー!!ひどいよ!俺1人だったんだからね?!」

「コタローちゃん元気そうで良かったわ」

「真ちゃん!宮地先輩!来てたんすね!」

「黒子っちぃぃいいい」
「黒子…!!」

「なんですか、大きい2人が揃って縮こまって…」


口では鬱陶しそうな風を装うが優しげな顔で迎える水色の髪の少年。

ああ、遠いなぁ。遠い。

彼らだってきっと意味のわからないこんな場所に連れてこられて、気がついたらここにいて、怖かっただろうに。1人じゃないって素晴らしい。私は長く1人で生きているから体は若いけれどもう、心はおばあちゃんだから大丈夫。こんな子供達に敵視されたくらいでへこたれる訳にはいかない。

「なぁ、そろそろ聞いてもいいだろうか。」

眼鏡をかけた男の子がこちらを見ながら口を開く。

「えぇっと、その女の子は何なんだ?」

「あ、俺も!俺も知りたいでーす!さっき赤司にうまくはぐらかされたし!」

「それについては彼女本人から挨拶してもらおう。取り敢えず今ここに居る22人は同じ境遇と見ましたが…」


赤い彼が話し始めてからすぐゴゴゴゴゴゴ…と地鳴りのような音がした。

「っ!な、なんだ?!地震か?!」

誰の声とも分からないが口々に恐怖を口にする。暫くしてその音は止んだ。

ふと、ステージの方に誰かが立っていることに気がつく。

私と目のあった"それ"は恐らく人ではないナニか。
道化のような格好をしているが色は無く、強いて言うなら白黒のトランプのジョーカーのようだ。

「何だあれ…っすか?!」

「どうやら彼奴が俺たちをここに呼んだ奴らしいな…ふはっ!ご丁寧に挨拶にでも出てきたか?」



グギっゴガッ…ゴリっ…!



奇妙な音を発しながら舞台の端から中央へ動いた道化師に全員が警戒態勢に入る。


『ガギッ…ザザザ……皆さん良くこちらにおいでいただきました。私が今回のこのゲームの指揮者を務めさせていただきます。』


男とも、女とも言えない声で話し出した道化師はにこやかに笑っているようで無表情なようで…怖い。

「おい、何だよゲームって…」

「早く帰りたいっス」

「おい、ふざけんなよ!こっから出しやがれ!!」


方々から色々な声で反応がある。
もうすっかり母国語にも慣れた。赤い彼が一言静かにしろと声をかけ、再び道化師が語りだす。

『私共のゲームは命懸けが条件となっております。最初に注意はさせていただきましたよ。さて、今回のミッションを発表させていただきます前に、ゲストの紹介です。今回の召喚者の方々は7名、そして…』

バッとライトが当たった。

「きゃっ!」

「っ…眩しいのだよ」

「…あのさぁ、何なの突然光当てるとか…暗いんだから考えてよねー。あーもう目がチカチカすんだけど。」

『招待者は赤司征十郎様、黄瀬涼太様、緑間真太郎様、青峰大輝様、紫原敦様、黒子テツヤ様、桃井さつき様の7名になります。』

「俺らはマジで花宮や赤司クンの言った通りオマケなのねん」

『そして特別ゲストにみょうじなまえ様をお迎えして今宵もどうぞ血腥く踊ってくれることを期待しております。ミッションは簡単…私の元へみょうじなまえ様をお届けしていただくことです。それでは…皆様、ご健闘をお祈りしております。…ザザザ…ブヂッ』



そういって道化師は闇に消えた。しかと見ていた筈なのにスゥッと影になったみたいに、本当に突然消えた。

しかし今はそれ以上に気になることができた。あの道化師の話からすると私があの道化師の元へ行けば、彼らは帰れるというの?…じゃあ私は…?この場所から何処へ帰るというのだろう。

「なまえちゃん」

「!」

目の前に実渕さんがいた。心配そうな顔をしている。これは私に向けられた心配なのか。それとも自分達の行く末に対するそれか。

「少し、お話いいかしら」

「…はい」







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