そういうと私のいる檻を中心にして21人が円を作るように座った。
視線が痛い、まるであのオークション会場にいるみたいだ。いや、コミニュケーションを取ろうとしてくれるあたりはまだマシかな。

「じゃあまずはここにいるみんなに、自己紹介してもらえるかしら、あと貴女のその…羽についても聞きたいのだけど…」

「わかりました。私の名前はみょうじなまえといいます。ここに来る前は…家にいました。この羽は随分と昔に気がついたら生えてました」

嘘はついてない…はず。私を飼っていたあの場所は家かどうかわからないけれど、一応は衣食住を与えてもらった場所、ということになるし、羽についても間違いは無いだろう。だが私を見る視線にはまだトゲが多い。
赤い髪の彼が口を開く。

「歳や、住んでいる場所は?」

「え…」

歳…歳は何歳だ?ここは敢えて本当の年齢を伝えるべきなのか、それともこの体の見た目年齢を言うべきか…
それに場所って何だったかな、私が高校生の頃住んでいたところは…とう、とうき?京都?あれ?とうきうと?何だっけ

「どうした?答えられない質問では無いと思うが」

「歳は16…です、住んでいるのはと、とうきょう…です」

「学校は?」

「行ってません」

体育館に沈黙が降りる。
その静寂を切ったのは実渕さんだった。

「取り敢えず…なまえちゃんをあのピエロさんのところへ連れて行けばゲームには勝てるのでしょ?ならまずはなまえちゃんを檻から出してあげて、その枷も外さないとね」

ガチャガチャと檻の鍵の部分をいじくる実渕さん。だが開く様子はない。この重たい空気を変えてくれようとしているのか、この人は優しい気がする。優しい、がどんなものかはもうすでに忘れかけているがなんとなくそう思った。

「あの、実渕さん…ありがとうございます」

「あら、かわいい。実渕さんなんてもう!レオ姉って呼んでいいのよ。そうだ、みんなも自己紹介しなさいよ。なまえちゃんがなんと呼んでいいか困っちゃうわ」

「お!じゃあ俺!俺から行く!俺は葉山小太郎っていいます!!レオ姉と同じ学校だよ!あ、赤司も俺らと同じだよ!よろしくね!」

赤司…?とは一体誰のことだろう。

「俺が赤司だ。洛山高校1年、赤司征十郎」

「はいはーい!俺は高尾和成っていいまっす!!秀徳でーす!ねえねえねえ!その羽本物?!飛べる?飛ちゃったりする?俺も飛びたいんだけど抱えて飛んだり出来そう??!!」

「やめんか高尾、相手が困っているのだよ。俺は緑間真太郎だ」

なるほど先ほどスポットライトが当てられていた彼らは名前に色が入っているのか。

そんなこんなで他の人も自己紹介が終わったがまさかこの短時間に全員の名前を覚えられる訳がない。

失礼かもしれないが最後の方なんてほぼ聞いてなかった。

「じゃあまず檻から出てもらうために鍵を探すか」

リーダーシップをとっている赤司が言い放つと、先程まで黙っていた黒子がおもむろに口を開く。

「あの思ったんですけどこの檻の鍵、開いてます」

「え?嘘、さっき何しても開かなかったわよ?」

「あ、すみません。言葉が足りませんでした。僕たちが自己紹介した後に勝手に開きました」

確かに檻の扉は開いていた。


その頃音もなく、部屋の外でも何かが動き始めた






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