【豪炎寺→円堂←鬼道】 | ナノ

ж豪炎寺→円堂←鬼道



「何であいつはいつもああなんだ」

むっと眉を顰めグランドの真ん中でサッカーをする円堂を見て、鬼道が苛立ったように舌打する。
不機嫌ですと全身で訴えてるのは、先ほどまでの試験勉強そっちのけで彼が仲間を巻き込んでサッカーをしているからだろう。
部活だって休止期間なのに、制服姿で騒ぐ姿は目立つ。
その内教師が出てきて注意されるだろうことは想像に難くないのに、巻き込まれた仲間達も仕方ないといいながら大層楽しそうだった。
そんな中、普段なら彼の傍にいるはずの鬼道が、教室から彼の姿を見下ろして膨れているのは、やはり当然円堂の所為だ。
試験範囲の勉強を教えてくれと、鬼道と豪炎寺に泣きついたくせに、十分もしないで叫び声を上げ帰ろうとしていた適当な仲間を集いグランドに行ってしまった。
別に鬼道ほど怒ってないが、豪炎寺も呆れている。
円堂は決して馬鹿じゃないが、勉強は好きじゃなく興味がないものには集中力も切れやすい。
赤点を取ったら補習なのに、目先のサッカーを取ってしまった。


「大体、あいつから勉強を教えてくれって言ったんだろうが」


ぶつぶつと文句を言いながらも、サッカーをする円堂を鬼道は止めない。
結局のところ、この男も円堂には甘いのだ。
どれだけ文句を言おうとも、どれだけ腹を立てようとも、どれだけ怒りを露にしても、彼は円堂を見捨てない。
それどころか彼がここまで感情の発露するなど、サッカーと円堂関連以外で見たことがないだけに、豪炎寺はそれが少し面白い。


「おーい!豪炎寺、鬼道ー!お前らも一緒にサッカーしようぜ!!」


グランドから両手を振って笑顔を巻きちらす円堂に、鬼道は苦虫を噛み潰したような表情をした。


「───赤点を取っても絶対に勉強には付き合わん」


苛立ちを前面に押し出したまま、それでもそそくさと机の上を片付け始めた男は、ある意味とても素直だった。

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