【豪炎寺→円堂←鬼道】 | ナノ

ж豪炎寺→円堂←鬼道



「きーどう!」


突然の後ろからの衝撃にも慣れてきた鬼道は、腰にへばり付いたお化けもどきを見下ろす。
にっこにっこと満面の笑みを浮かべたおばけ───円堂守は、にかっと晴れ晴れしい笑顔を浮かべた。


「何だ?」


嫌々渋々返事をすると、嬉しそうに益々笑みを深める円堂に、鬼道は嫌な予感がした。


「サッカーしようぜ!」


嫌な予感は往々にして当たるものだ。
額に青筋を浮かべた鬼道は、腰にへばりついている円堂の顔を遠慮なく掴むと馬鹿でも判るように教えてやった。


「いいか、円堂。理解しろ。今は、テスト、期間中だ!豪炎寺!お前も何とか言え!」
「・・・サッカーか。楽しそうだな」
「豪炎寺!」


ちらり、と僅かながらに微笑みらしきものを浮かべた友人を睨みつければ、すいっと肩を竦めた。
彼は円堂に甘すぎる。


「───っ、テストが終わったらいくらでも付き合ってやるから、お前はまず赤点取らないよう勉強しろ!」
「えー?一人で勉強してもつまんねえもん」
「なら俺が付き合ってやろうか?」
「ホントか!?豪炎寺!」
「ああ」
「それじゃこの間と同じだろうが!」
「いや、違うぞ」
「何が違うんだ?」
「お前が居ない」
「っ」


静かに断言され、言葉が詰まった。
誘われてないのにいつの間にか一緒に居るのが当然と思い込んでいたなんて、自分はいつからそんなに甘い考えに浸るようになったのか。
唇を噛み俯くと、腰に回った腕に力が篭められた。


「鬼道を苛めんなよ、豪炎寺」
「・・・すまん。つい、な」
「は?」
「俺と豪炎寺が居たら、お前だって一緒で当然ってことだよ」


しがみ付く体温に、すっと呼吸が楽になる。
慣れたいと望んでいなかったのに、微温湯のようなこの居場所にいつの間にか慣れていた。

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