【豪炎寺→円堂】 | ナノ

ж豪炎寺→円堂



「そんでなー、鬼道がな」


にっこにっこと満面の笑みでここに居ない仲間を語らう円堂に、豪炎寺は静かに瞬きを繰り返す。
先ほどから彼の口に上る名前は豪炎寺にとっても親しい間柄だが、相槌は『ああ』と『そうか』しか言っていない。
別に鬼道のことを嫌っているとかそういうのではなく、ただ単に円堂の勢いが凄く口を挟めないのだ。
嬉しげに鬼道のことを語る円堂はサッカーをしてるときみたいにキラキラしてて、少しだけ、そう、ほんの少しだけ面白くない。

ちょっとずつ口数が少なくなる豪炎寺に気付いたのか、言葉の奔流を止めた円堂が、不思議そうに首を傾げてこちらを見た。


「どうした、豪炎寺?」
「・・・別に」
「んー?でも何か変だぞ?」


顔を覗きこんできた円堂から一歩身を引き顔を俯かせる。
気のせいか顔が熱い気がした。

そんな豪炎寺の様子を見ていた円堂は、ぽんと手を鳴らし笑みを深める。
何となく、嫌な予感がした。


「なーんだ、豪炎寺。焼き餅か?」
「なっ!?」
「だいじょーぶ!俺はちゃんと豪炎寺も好きだぞ」


へへっと笑って肩を組んできた彼に、何も言えずに黙り込んだ。
否定できない自分がもどかしい。

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