【風丸→円堂←豪炎寺】 | ナノ

ж風丸→円堂←豪炎寺




「俺はさ、お前に嫉妬したよ」


爽やかな笑顔で告げられた言葉に、豪炎寺は目を瞬かせる。


「俺は、あいつの居る場所で立てるお前が羨ましかった。そんな才能を持ってるくせに、自分から捨てようとするお前が妬ましかった。酷いよな、仲間だって言ってたのに」


困ったように眉を寄せ、綺麗な顔で風丸は笑う。
瞬間の驚きが去った後、豪炎寺に残されたのは不思議なほどの納得。
確かに、風丸の視線はいつだって円堂に向いていた。
好きだという陸上ではなく、幼馴染だからとサッカーに助っ人して、そのままどんどんと世界に引き込まれ夢中になっているように見えた。
迷っているのも知っていたけれど、彼はとても真っ直ぐにやりたいことを追いかけてた。

自らの才能に限界を感じていたのも知っている。
闇に身を落としてまで、サッカーに執着したのは、そこに円堂が居たからだ。
風丸は、きっと円堂の一言にこそ囚われていた。


『サッカー、しようぜ!』


最高の笑顔での誘いに、何処までも共にと望む気持ちは豪炎寺も理解できる。
だから、風丸の言葉は納得してしまえば胸の置くまですとんと落ちるものだった。


「悔しかった。あいつの傍で、あいつを支えてやれない自分が。幼馴染でずっと近くにいて、これからも変わらないって思ってたのに。あいつの隣は俺の場所だって、馬鹿みたいに信じてたんだな」


柔らかい微笑み。
それは色んなものを乗り越えたからこそ浮かべられる、風丸独特の綺麗な笑顔。


「俺は負けない。お前にも、鬼道にも、吹雪にも、他の誰にも。あいつの隣は、俺の場所だ」


叫んだわけじゃない。大きな声だったわけじゃない。
けれどその言葉は不思議な響きを豪炎寺の胸に与えた。

静かな宣戦布告。
強い意志と想いに、そして何故か痛む胸のどこかに。
豪炎寺はただ驚いた。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -