か  風でなびいたあなたの髪が、わたしの頬をくすぐった | ナノ

ж風丸→円堂


*Web拍手の再録です。
お題は:afaikさまより『出掛けよう』からお借りしてます。

か  風でなびいたあなたの髪が、わたしの頬をくすぐった


「んー!今日も気持ちがいいサッカー日和だな!」
「ははっ、お前にとってサッカー日和じゃない日があるのか?」
「そりゃないな」


けらけらと笑った幼馴染に、風丸は相貌を崩す。
年齢より幼く見えるまろい頬を突付きたくなる感情をなんとか胸に押さえ込み、代わりに落ちていたボールを胸に抱いた。

二人きりのフィールドは、まだ早朝の少し涼しげな風が頬を擽る中サッカーをしている。
何故二人きりなのかといえば、まだ部活の練習時間にかなり余裕があって、何故余裕があるのかといえば、朝早く目覚めた円堂が、サッカーしたいと風丸を家まで迎えに来たからだ。
まだ眠っている時間にいきなり携帯で起こされたのは驚いたが、他に驚く部分はない。
実はこのようなことは今回が初めてではなく、今までも何度か突発的に繰り返されていた。
慣れてしまったのだろう。慣れるくらい付き合う自分の甘さに苦笑してしまうが、他の誰かじゃなく自分を選んでくれているのが嬉しくて文句も言えない。


「なっ、今度はどっちが先にシュート決めれるか、競争しようぜ」
「シュートを決めれるかって・・・お前、キーパーだろう?」
「俺もたまにはシュートを打ちたい時があるんだよ。な、いいだろ?」
「はいはい。お前はサッカーで言い出したら聞かないからな」


くすくすと微笑んで振り返れば、ゴールエリアにいたはずの円堂が予想していたより近くにいて髪が頬を掠める。
ふわりと太陽の薫りが漂った気がして、どくん、と心臓が鼓動を高めた。


「じゃ、センターラインからスタートな。ボールはじゃんけんで決めようぜ」
「・・・ああ」


心持ち赤くなった風丸に気付くことすらしないで、上機嫌な幼馴染は駆けて行く。
そんな彼の仕草に胸を締め付けられつつ、未だ残っている二人きりの時間を満喫しようとその背中を追った。

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