で  デート、っていう言葉に、こだわりなんかないはずで | ナノ

ж虎丸→円堂


*Web拍手の再録です。
お題は:afaikさまより『出掛けよう』からお借りしてます。

で  デート、っていう言葉に、こだわりなんかないはずで


「ナイスシュートだ、虎丸!」


河川敷のフィールドでシュートを決めた虎丸は、受け止められたボールに多少の悔しさを感じつつも、誉められたことに破顔した。
太陽のような笑顔を浮かべるあの人は、虎丸が憧れた豪炎寺ではないけれど、同じくらい凄い人だ。
初のFFIでイナズマジャパンを優勝へと牽引した柱であり、仲間の中心的存在。
誰もが彼の言葉に背中を押され、惹きつけられていった。
どんなときでも絶対に絶望しない。彼がいるから背中を預けられる。
真実の信頼を預けるに足るキャプテンは、虎丸にとっていつしか豪炎寺とは違う意味での特別に変わっていた。


「へへッ、来年には豪炎寺さんのエースの座も奪って見せます!」
「そりゃ頼もしいな!来年、お前が入学してくるのが楽しみだ」
「俺も楽しみです!豪炎寺さんや雷門中の皆さんや───キャプテンと一緒にサッカーするの」


投げられたボールを胸でトラップして足で抑えると、円堂に向けて笑顔を返す。
告げた言葉は本心だ。
ずっと憧れていた豪炎寺と同じ場でサッカーをしたかった。
それはイナズマジャパンのメンバーに選ばれるという僥倖で叶ったけれど、今では別に目的がある。
日本一になった雷門中のサッカー部員とサッカーもしたい。
心を通わせて相手を信頼するプレイを覚えた虎丸にとって、雷門中のサッカーはとても魅力的だ。
けれど何よりも魅力的なのは、サッカー部を率いるのが『円堂守』だということ。
FFIに出場したあの短くも長い期間で抱いた胸に宿る感情の名を、今ではもう自覚している。
だからこそこうして、同年代の少年たちより自由が利かない時間を捻出してでも円堂と二人きりでサッカーをする場を設けた。


「キャプテン」
「ん?」
「俺、絶対に負けませんから!」
「あははっ、頑張れよ虎丸。俺も応援してる」


ぱちり、とウィンクした彼は、虎丸の言葉の裏に気付こうともしない。
けどそうして油断していればいい。
親友という枠に囚われて身動きが取れない鬼道や、幼馴染の関係を壊すのを恐れる風丸や、自らの感情を自覚していない豪炎寺に、負ける気なんてさらさらない。

サッカーも、胸に秘めたるこの想いも、全てに対して勝利する。
未だ幼い顔立ちに勝気な笑みを浮かべた虎丸は、心を込めたシュートをもう一度全力で蹴りはなった。


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