分かってもらえるなんて残念だ | ナノ

ж一之瀬&土門


*Web拍手の再録です。

お題は:afaikさまからお借りしてます。


「今日も円堂のプレイはいいな」


夏の太陽みたいに明るい笑顔を浮かべた幼馴染に、土門も頷いて同意した。
雷門中サッカー部キャプテンの円堂は、今日も今日とてゴールキーパーとして仲間達のシュートを受け止めている。
ボールを蹴ってくる一人一人にコメントをしながら、本当に楽しそうにサッカーをしていた。
どんなに苦しい練習でも、円堂はいつも笑顔だ。
サッカーが出来ること自体が嬉しくて仕方ないと、隠すことなく全身で表現する。
隣に立っている一之瀬は、そんな円堂のサッカーが好きだ。
全力で諦めないプレイをする円堂を見て、日本に居座ることを決めたくらいに。
事故にあって一時期サッカーが出来なくなっていても、諦めずに不死鳥のようにフィールドに戻ってきた一之瀬にとって、仲間に絶対の信頼を与え、仲間から全力の信頼を預けられる円堂は、まさしく理想とする仲間であると同時に、最高のライバルなのだろう。


「俺、サッカーをしてるときの円堂の顔が一番好きだ。楽しくて楽しくて仕方ないって顔してる」
「あ、俺も今丁度そう考えてたところだ」


重なった偶然に笑って告げれば、一瞬瞳を鋭くした一之瀬は、幼馴染だからこそわかる、薄っぺらい笑顔を顔に貼り付けた。
それは笑顔にも見えたが、絶対零度の怒りの表情にも見えた。


「土門。最近自覚するようになったんだけど」
「・・・なんだ?」
「俺、結構独占欲が強いみたい。好きな相手を他の誰かが同じ目線で見てるのも、我慢ならないくらいに」


威嚇するように、或いは恫喝するように、喉を鳴らして獲物を追い詰める肉食獣みたいに口角を持ち上げて、うっそりと囁く。
背筋を駆け上る感覚は、間違いなく悪寒だった。



分かってもらえるなんて残念だ

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