お題 | ナノ





嘘恋

接吻なんてかっこつけて
抱擁なんて調子乗って
2番目だって遠すぎて
紡ぐ言葉が重過ぎて
握った手は冷たくて
恋をするには早すぎて
見つめる先が近すぎて
会えない日々が辛すぎて
笑った顔が切なくて
愛してるなんてじゃれあって

愛を語るには知りすぎて
ありがとうなんて欺いて
ごめんねなんて誤魔化して
震える声が退屈で
弱さなんて飲み込んで
強くなんてなれなくて
胸の内が見えなくて
夢を見るには足りなくて
求めあうには不器用すぎて
友情だよと誡めて

離れることが当然で
噤んだ口が真実で
別れてなんて幻で
絡めた指を引きずって
瞼の裏には君がいて
見えない傷が化膿して
隣で笑う君に焦がれて
逸らした瞳が冷徹で
苦笑いだと気づいてて
流した涙が美し過ぎて

友達なんて定義して
いつかなんて不確かで
永遠なんてこわすぎて
大丈夫なんて自戒して
好きだよなんて軽すぎて
手を繋ぐことも困難で
笑顔の裏には涙があって
見えない壁が厚すぎて
助けてなんて軽率で
どうしてなんてきけなくて

今さらだってわかってて
あの子の瞳がまぶしくて
綺麗な空がみにくくて
抱きしめてなんて狡すぎて
落ちた涙が苦しくて
好きも嫌いも言えなくて
諦めるんて滑稽で
誤魔化すなんて簡単で
裏切りなんて必然で
繋いだ手にはあの人がいて

絡んだ視線に胸が痛んで
好きだとしても表せなくて
心の奥で思ってて
握った拳の行き場がなくて
突き放せないのをわかってて
目を閉じれば傍にいて
わかっているから言わないで
またねなんて消え去って
動揺なんて押し込めて
揺れる瞳から逃げ出して

擦れた声が愛しくて
恋人なんて窮屈で
純粋でなんていれなくて
同情なんて我が儘で
待ち焦がれても会えなくて
星に願えば笑われて
思い出なんて儚くて
立ち止まるのが遅すぎて
運命なんて偶然で
約束なんて曖昧で

震える足は正直で
言えない思いが見え隠れして
隠した痣に心が痛んで
ヒーローなんてバカにして
見えないふりは易しくて
もがき苦しむふりをして
会いたいなんて偽物で
笑ってなんて身勝手で
優しさなんて無自覚で
掠めた香りが虚しくて

痛む心が邪魔過ぎて
口に出したら消え失せて
フィナーレなんて呆気なくて
どこかの誰かになりたくて
明日なんて欲しくなくて
竦めた肩には怒りが見えて
始めることすらできなくて
言葉にしたら浅はかで
だからあなたはペテン師で
見上げた先に姿はなくて

きこえたそれを掻き消して
掠めた風はそっけなくて
そこに私は行けなくて
下を向いたら負けそうで
ホントの気持ちも偽物で
同意するのは容易くて
火照った頬が欲張りで
出した答えは見せかけで
冷めた瞳がやりきれなくて
本当だよと強がって




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