※これの続きです。
勝負だと言ったはずだ。勝負ならば正々堂々と競うべきではないか。
「別に、俺は普通に食べるとは言ってないし。せっかくのビヨンからのチョコなんだ、味わって食べたいだろ?」
「減らず口をっ……なんとか、しなさい……!」
床に座り箱を検めるビヨンを背後から抱きしめ、その手をシャツの内側に忍ばせる。ニースがしばらく捏ねていたせいで硬く赤く反応している胸のそれには溶けてぬるぬるになったホワイトチョコレート。髪の間から覗くうなじに唇を寄せて、そこでも口の中で唾液と混ざり合い溶けたホワイトチョコレートを舌で遊ぶように舐め取っていた。
真剣に探し出そうとしているのに、探せと言ったニース本人がそれをさせてくれない。ビヨンは息を荒げながらも必死に抗議した。
「食べ物で遊ぶなんて、子どもですか! 離して下さいっ……!」
「遊んでないですー。それより、早く俺のを探し出してくれよ」
「探してま、ァっ……」
ニースの指がきゅ、と尖りを掴もうとして、ぬるりと滑った。べたべたのチョコレートがそうさせているらしい。刺激が与えられそうで与えられない、しかしこれはこれで適度な快感が与えられて、ビヨンは思わず箱を手にしたまま悶えた。
ニースはビヨンのうなじに舌を這わせたまま笑った。
「チョコ、気持ちいい?」
「ば、かっ……!」
このままではプレゼントどころではない。首を捻り体を捩ってニースに向き直ろうとしたが、ニースのチョコレートまみれの指がビヨンのズボンの中に隙間から侵入し、思わず体が固まった。
案の定その長い手指は思わず熱を持ち始めたそこに辿りつき、
「やっぱり気持ちいいんだ。ぬるぬるしてるもんな」
「……っ、は……」
そしてその指でしゅ、しゅ、と扱かれる。ニースの手つきは慣れたもので、いとも容易くビヨン自身は硬く上を向かされた。
その間にもう片方の手はいつの間にか新しいチョコレートを手にしていて、後ろから体重をかけてビヨンを床にうつぶせに押し倒す体勢になった。
「なに、する気……っは……ッ」
ビヨンのものを扱きながらゆっくり倒すと、ビヨンは背筋をびくびくと引きつらせながら右目で必死に振り返ってこちらを見てきた。何をする気、なんて。聞かずとも分かるだろうに。
暖かい手で持っていたせいで半分溶けだしていたチョコレートを唇に挟み、手はビヨンのズボンをずるりと引き下げた。尻を突き出すような格好をさせられ、しかもその尻を露出させられ、ビヨンは足でニースを蹴ろうとした。が、すぐに掴まれニースの体で固定された。
「――ッな、ア、……な……っ!?」
指で赤く色づいている窄みをこじ開けるようにして、その隙間から唇に挟んだホワイトチョコレートを舌で挿入した。柔らかいチョコレートは指で窄みを大きく開かなければすぐに潰れてしまう。明かりも消していない部屋の真ん中で、尻を高く上げさせられ、更にそこを指でこじ開けられたところにチョコレートなんて異物を入れられるという行為をビヨンの頭が理解するまでには少しの時間を要した。
ニースは指でチョコレートを更に奥までぐっと押し込んだ。そして何事もなかったかのようにビヨンのズボンを元の通りに戻し、ビヨンのものを扱いていた手も引き抜いた。
「……な、に……」
「探すんだろ? 邪魔するなって言われたからもう邪魔しないよ。早く俺の見つけてくれよ?」
そう言ってにこっと笑ったニースの顔は眩しすぎてくらくらする。まるで今ビヨンが置かれた状況と正反対で、くらくらする。
中途半端に熱を上げられ、果ては異物まで入れられて。体内に押し込められたチョコレートは、早くも熱に溶けだしている。力を入れないととろとろと太股を伝いそうで、思わず足に力を入れた。
「ニース……っ」
「なんだ?」
「……っ。もういいです、探します!」
ビヨンは半ば自棄になって、段ボールの中身と向き合った。ニースはその姿を後から見て口端を上げた。
どれだけ持つかと思って見ていたが、ニースがゆっくりとチョコレートを食べながらビヨンの様子を見ていると、意外にも気を取り直して真剣にプレゼント探しをしていた。
それでもやはり気になるようで、太股を摺り寄せるように動かしたり、体勢は最初から一切変えていなかったりと、やはり気になる様子だ。
「ビヨン」
「……邪魔しないんじゃないんですか」
「いや。手持ちのチョコ、全部食べちゃった」
ニースの声にビヨンは首だけで振り向いた。手にしたビヨンからのチョコレートの箱は空で、全てニースの胃の中におさまってしまったらしい。
つまりこの勝負は負け、
「ビヨンのおしりにいれたチョコと、乳首に塗ったチョコ。まだあるだろ? それを俺が食べ終わるまではまだビヨンにもチャンスがあるってことだな」
「……な、……え」
「ちょっと失礼ー」
ニースはビヨンのシャツを再び捲り上げ、いまだチョコレートが乾いていない胸の尖りに指を這わせた。少し時間が経ったとはいえまだコリコリと硬くたちあがっているそこを弄ると、ビヨンは小さく息をつめただけで何も言わなかった。
「抵抗、しないんだ?」
「はっ……ん、……っ」
「それとも、したくてもできないか。そっちかな」
色濃い肌にはホワイトチョコレートのパウダーがよく映える。粉のついた乳輪全体を舌で包むように舐め上げ、そして尖った先端を舌先でつつくようにちろちろと嬲る。するとビヨンは息を止めて目をぎゅっと瞑り、いやいやするように首を振った。箱を持っていない手が下肢に行きたがっているのを見つけ、その手をニースが捕まえた。
「や、……手っ……」
「感じると入れてたチョコが出てきちゃう?」
わざと意地悪するようにビヨンの耳元で囁きながら乳首を指で弄る。ビヨンは熱く息を吐いて小さく声を上げた。
目線を下げると、下ろしていないズボンの股のところがすっかり反応しているのが見えた。
「早くどうにかしてほしいんだろ」
「……っ……」
執拗に乳首を撫でながらビヨンに聞いた。頷くことも否定することもなかったが、もうとっくに限界のはずだ。
ビヨンの返事は聞かないまま、ニースはビヨンを今度は仰向けに押し倒し、下肢に纏わりつく布を全て剥ぎ取った。押し倒してもビヨンはいまだ右手にプレゼントの箱を持ったまま、抵抗らしい抵抗はできずにいた。
「お、すご……」
仰向けに寝かせて足を大きく開かせると、その窄みからはとろとろと白く粘着質な液体が垂れていた。溶けたチョコレートだと頭では分かっていても、この光景はどう見ても卑猥にしか見えない。
「いっぱい中で出したみたいだ。……指も、簡単に入る」
「あっ、あ……っ」
完全に蕩け切っていて、人差し指を突き入れるとチョコレートの力もあってかそこはすんなりと受け入れた。軽く抜き差しすると、じゅぶじゅぶ音がする。ビヨンは左手で顔を覆い、音を聞きたくないと言った。
「このままいれちゃっても入りそうだな。入れるぞ」
「……はッ、あ、ぐ……ッ!」
足を大きく開かせてチョコレートの溢れだしてくるそこに、すでに熱を持っていたニース自身を突き入れた。流石に痛みはあったようだが何とか全てを入れる。ビヨンは浅く息をついていたが、握りしめていたプレゼントの箱は指の力で潰れていた。
「……ん、」
ふと、ニースはその潰れてしまった箱に目をやった。ニースがどんなにビヨンを追い詰めても離さなかったその箱。
「それ……」
「二ー、スの……っ」
ビヨンは潰れてしまったそれを見て、眉尻を下げて悔しそうに息を吐いた。潰れてしまっていたが、その箱はまさにニースがビヨン宛てにと贈ったものだった。
いつ見つけていたのだろうか。そういえばニースがビヨンに悪戯する前からこの箱は手にしていた気がする。
「なんで見つけてすぐに言わなかったんだ?」
「確信が持てなかったんです……っ」
「じゃあ、まあ、今回は引き分けってことかな」
眉を顰めているビヨンにキスを落とし、意地悪してしまったことを詫びた。ニースが今まで意地悪してきたのも、ビヨンがプレゼントを見つけてくれない怒りからきていたのだ。その怒りも冷めれば、あとはこの状況をどう楽しむかという点にニースの思考は働いた。
ぎちぎちと体内にニースのものは埋め込まれているが、白く濁ったホワイトチョコレートが隙間から垂れ落ちてくる。少し引いて再び腰を打ちつけると、ローションを使ったときのような音がした。
「動くぞ」
「ッ、あ、あっ、あっ……」
動くたびにねちねちと音がする。出し入れするたびにニースのものに粘膜とチョコレートがこびり付いて淫猥だ。視覚による興奮が強くて、ニースは動く腰が止められなかった。
「でっ、る、……あ、あッ、」
「我慢させたもんな。出していいぞ」
「んぅっ、ん、ん、あっ……!」
ビヨンの射精とともに体内はニースのものを強く締め付けた。急激に来る射精感を息をつめてやり過ごし、ビヨンの息が整うのを待つ。
「今日はバレンタインデーだ。まだまだ楽しもう」
「……せめてベッドに移動してからにしてくださいね」
ビヨンは痛む背中をさすって渋々頷いた。
「ところで、なんでビヨンはこれが俺からのプレゼントだって分かったんだ?」
「色とか、雰囲気が。ニースのような感じがしました。……ニースは何故私のを」
「ビヨンの匂いがした!」
「へえ(犬ですか)」
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2011.02.14
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