即興二次小説ログ
サジェポト/亀裂を作って遊ぼう!



GO サジェポトとバンバロスとマジソン


 マジソンから生み出される計画とそれに対する自信が一体どこから出てくるのか、長い付き合いになる今でも全く分からない。
「いいか。バンバロスは偶然を装ってサージェスの部屋を訪れるんだ。偶然だ、偶然。そこでポトムリがいたら万々歳だし、いなかったらいなかったでサージェスに問い正せる」
「……なぜお前がやらん」
「俺が? とんでもない! ここは幾多の修羅場戦場を駆け抜けてきた元騎士団様にやってもらわないと」
 バンバロスは飄々と言ってのけたマジソンに大きなため息をついた。
 ――ここのところ、騎士団であるサージェスが、らしくもなく落ち込んでいる。
 原因は不明。最も濃い線だと思われていたカトラとの不仲は、昼間楽しげに会話していたので候補から外された。その次に思い当たるのは、サージェスの周りでごく一握り、――具体的にはバンバロスとマジソンのみが知っている恋人、ポトムリとの不仲だった。
「と言うか、確実にそうだ。ポトムリの部屋から呪いの人形にネジでも打ち込んでるような音がした」
 大昔のキエル式呪いの儀式に、それはないだろう、とバンバロスは無言で思う。口に出すと面倒なので言わなかった。
 マジソンはとにかく、と机から身を乗り出してバンバロスに迫った。
「ポトムリが部屋にいたら喧嘩したのか聞いてくれればいいし、サージェスしかいなければ相談に乗ってやってくれればいい。サージェスがこういう時に一番頼れるのはバンバロスなんだからさ」
「ポトムリが部屋にいたとして、喧嘩でもしていたら俺は仲介せねばならんのか。面倒は嫌だぞ」
「ヤバくなったら俺も行くって。力で抑えなきゃならなくなったらグーザーも呼ぶし、お前を見殺しにはしないさ!」
 明るく言ったマジソンがこうも自信満々になると、もう拒否するのも不可能だということを知っている。軍師よりも低い地位のただの騎士になったバンバロスには拒否権もなかった。
 凶器になりうる剣を机に置いて、バンバロスはマジソンに急かされながらサージェスの部屋に向かった。
 せめてポトムリがいなければ。男同士の醜い修羅場なぞ見たくはない。バンバロスが祈りながらサージェスの扉をノックし、鍵のかかっていないそれを押す。
 ――そして、心の底から後悔した。
「もういい。サカりのついた犬など首輪をしていても他所へ行くのだから勝手に行ってしまえ」
「だから違うんだってポトムリ! あれは誤解で!」
「――――なんだ。痴話喧嘩か」
 さらに、そんな言葉が口をついて出てしまった。
 ポトムリはバンバロスの存在に気づき、そしてその言葉にはっとする。彼の手には太古キエル式呪いの人形が握られていた。マジソン、疑ってすまなかった。バンバロスは心の中で謝った。
「ふッ――ざけるな! 誰がこんな犬と、痴話っ、おぞましい」
「機嫌直してくれよ、ポトムリ!」
「寄るな触るな、もういい私は帰る!」
 そう言ってポトムリは扉の脇にいたバンバロスを押しのけて、サージェスの部屋から出て行った。部屋にはバンバロスと、どん底にまで落ちたサージェスが残る。これ以上首を突っ込むのも嫌だったが、バンバロスは部屋に来た手前、一応聞いておいた。
「サージェス、一体何があったんだ。ポトムリと喧嘩なぞ……」
「この間、マジソンがふざけて女装して俺の部屋に来て、それを見られてからポトムリがあんな感じで誤解してて……」
 マジソン、お前のせいじゃないか。

2014.04

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