※ウォーズ時間軸・設定捏造
神谷重工は現在、安定した経営を続けていた。
イノベーター事件から早五年が経つ。LBXメーカーとして名をはせていた会社がテロリストの本拠地であったとは誰が予想しただろうか。
一時はテロリストの会社だと地の底まで落ちた神谷重工の名が、五年で再び元の勢いを戻し、再びLBXメーカーとして知られるようになったのは、ひとえに元会長である神谷藤吾郎の息子で現会長の神谷コウスケの努力であった。
「家に仕事を持ち帰るほど熱心な社員を持って、ボクは幸せだね」
戸の開く音とふわりと漂ったバラの香りから彼の存在には気づいていたが手元の機体から視線を逸らさなかった風摩キリトの肩に手が置かれた。
それを振り払うこともせず、キリトは口を開く。
「精密機械だ。水が入ったら困る。風呂上りには近づかないでくれないかな」
「そう言われると思って、もうすっかり髪も肌も乾かした後だよ。心配は必要ないさ」
ふふ、と神谷コウスケが唇を緩め、キリトの肩に置いた手をぽんぽんと上下に動かした。その様子は、若干22歳にして社員を労う社長としてさまになっていた。
風摩キリトが神谷コウスケに誘われて神谷重工の社員として働くようになってしばらくが経つ。
四年前、美を極めたLBXを作るというコウスケの話に乗り、リュウビホウオウを制作した経験から、キリトの手先の器用さ、コウスケの求めることに応え更にその上を求める姿勢、そしてその理想を現実のものにしまう技術力をコウスケが買ったのだ。
「俺は高いよ」というキリトに、「究極のLBXを作ることができる環境で、ボクの監修する美しいLBXをいくらでも作ることができるんだ。これ以上の何を望むんだい」と返したコウスケの言葉に、しかしそれも面白いかもしれないと乗ったのはキリトだった。
それから神谷重工の最新設備の揃った開発室でひたすらLBXを弄る日々だが、この誘いに乗ったのは正解であったと、キリトは思う。
だがひとつだけ、果たして本当に正解だったのだろうかと疑ってしまう部分があった。
「しかし、今日はもう遅い。そろそろ仕事をやめて寝ようじゃないか」
「……勝手に一人で寝なよ。いつも俺と一緒じゃなくてもいいだろう」
「愛する者とは共に就寝するものだと、キミは母に教わらなかったのかい?」
キリトの肩に置かれていた手が優しく動き、キリトの頬を撫でる。それにぞわ、と鳥肌を立たせて、キリトは顔を背けた。
「残念ながら習ってないね。君のほうこそ、いつまでも乳離れできない子供みたいなことをしてないで……」
「風摩キリトが相手では、乳離れなんてできそうにないよ」
そう言いながら、自然な流れで触れていない片方の頬に軽くキスをされる。ちゅ、と音を立てて離れた唇に、キリトは眉を顰めて返した。
――これだった。キリトはコウスケにとても気に入られ、こうしたスキンシップを多く受けるようになっていた。
四年前、リュウビホウオウを制作していた頃からLBX監修のためにコウスケにより部屋に足しげく通われていたが、神谷重工で働き始めてからというもの、いつのまにか住む家まで一緒になっていた。
それだけならばまあ、部屋に入り浸られていた時より一緒にいる時間が少し増えただけだと諦めることもできたが、そうして一緒にいる時間が増えた結果、コウスケからキリトへの心の距離も縮まったらしい。
「愛している、一生、ボクの元でLBXを作ってほしい」と、顎を掴まれ至近距離で赤と紫の瞳に真っ直ぐ告白されたときのことは、今思い出してもぞわりと背中に何かが這う。
が、頬にキスを受けながら振り払えなくなっている自分も大概だと、キリトは自分に溜息をついた。
「離れてくれないかな。手元が狂う」
「それならば尚更、今日のところはやめてしまえばいい。ボクは社長なんだ。命令は絶対だよ」
キリトの額にもキスを落としてコウスケは言った。
元々「愛」や「一生」の言葉には敏感だったキリトだが、コウスケのその言葉には不思議と安心感があったことも、告白やスキンシップを無下にできなかった原因だった。
キリトの方から愛の言葉を返したことはない。だがコウスケは、何も言わずとも分かるよ、と笑ってキスをしてくるのだ。
「それとも、ベッドにエスコートしなければならないかな」
「……分かった。寝るよ」
仕方がないと、キリトは掴んでいた機体を置いた。片づけは明日の朝にしよう。もうコウスケは一秒たりとも待ってくれなさそうだ。
長風呂のコウスケの前にとうに軽い風呂を済ませていたキリトは、コウスケの手招くベッドに腰をかける。成人の男二人が乗っても軋んだ音をたてないベッドは、もちろんコウスケの用意した高価なものだった。
キリトが座るとコウスケは人懐こい動物のように寄ってきて、肩を触れ合わせてくる。男相手にこんなこと――と一瞬我に返ることもあるが、むしろキリトは男相手だからこそ受け入れることができたのだろう。
コウスケが、キリトが作業のために縛っていた髪留めを優しく外して、その髪に指を絡めてくる。
「ボクの髪には及ばないが、なかなか艶が良くなってきたじゃないか。キミは手入れすればもっと美しくなれるんだよ」
「別にそんなこと望んじゃいないんでね」
寝るから早く来いと言ったくせに、コウスケはキリトの髪を指で梳かして遊び始めた。
コウスケにとっては愛する者へのスキンシップのつもりなのだろうが、愛猫を撫でているような手つきにしか感じられず、キリトは再び眉を顰める。
そもそも、コウスケは人を愛した経験が無いようだった。キリトがコウスケに出会った当初、彼は清々しいほどの自己愛を極めており、父親に対する肉親的な愛ではない恋愛感情で他人を愛するという発想がそもそも無かったように感じられた。
そんなコウスケが人を愛するようになっても、愛す方法を知らないのは納得できることだ。キスをしたり抱きしめたりは頻繁にしてくるが、それらは総じて愛猫に対して行うようなものでしかない。
犬のように嬉しそうにすり寄ってくるくせに、全く、どちらが動物だ。
「いつまでもそんなことをしてないで。寝るんだろう」
「ああ。寝るけれど」
コウスケの手が再びキリトの頬に触れて、今度は唇にキスをされた。軽く触れ合わせ、すぐに離される。かと思えば今度は下唇を優しく食まれ、薄い唇に舌が乗った。
こういうキスをしてくるから、やはりコウスケのキリトに対する愛というのは、人間に対する恋愛感情と同じものなのだろう。舌を合わせ絡ませながら、キリトは思う。
「……、…………」
舌と舌の間で唾液が音を立てる。ふ、と鼻から抜けた息が唇や頬をくすぐる。ようやく離れた唇に瞼を開けてコウスケを見ると、コウスケは満足そうに、キリトの顎に伝った唾液を指先で拭ってきた。
「愛しているよ。風摩キリト」
「……そうかい」
その割にはこれ以上の手出しはしてこないんだな――と、咄嗟に浮かんだ言葉を寸でのところで飲みこんだ。いや、そもそもこれ以上の行為を知らないのか? とも。
コウスケは年月をかけてキリトに愛の言葉を囁き、キスをし、抱きしめてくるのに、それ以上のことを望んできたことは一度も無かった。それが余計に、キリトに己を猫か何かと勘違いされているのではないかと思わせていた。
絆されて始まったような関係だ。愛されたいと願っているわけではない。だがしかし、ここまで愛を伝えられているのに肉欲に結びつくことはないのだろうかという疑問が強くある。
キスをして満足したらしいコウスケの布団に潜り込もうとするその腕を、キリトは掴んで引き寄せた。
「ちょっと待ちなよ」
「ん……、何だ? 足りないのか、風摩キリト」
コウスケが顔を綻ばせる。そのコウスケに頬を寄せ、離れたばかりの唇をもう一度触れ合わせた。
キリトからスキンシップを強請ったことはない。そのためコウスケは嬉しそうにキリトの誘いに乗ってきた。キリトが舌を出すと、それに吸い付くようにして絡ませ合わせてくる。
そうしてキスをしながら、キリトはコウスケの身体に触れた。肉体美にも自信のあるらしいコウスケの身体は筋肉で引き締まっている。その脇腹に手のひらを這わせ、そういう意図を持って、つうと撫でた。
「ッ……!」
途端、びくりとコウスケの身体が跳ねる。キスをする舌の動きが鈍り、キリトに触れていた手指に少しの力が加わる。
ただくすぐったかっただけか、それともちゃんと性欲や煽られるべき情欲というものがあるのか。測りかねて、キリトは更に手を動かし人間の弱い部分を撫でた。
「っキリ、ト、待てっ」
「へえ、一応こういうのは分かるんだ」
明らかな意志を持った手の動きに耐えかねたのか、キスを中断して制止してきたコウスケに、キリトはそう返す。
身を捩りながら頬を染めたコウスケは今まで見たことがない表情をしていたが、案外見て楽しいものだ。
「突然何を……」
「こういうことを知らないのかと心配になったんでね。ちょっと遊んでみたのさ」
ぱ、と手を離す。が、コウスケにも一応はそういう行為に対して理解しているということが分かったところで、尚更キリトは己へのスキンシップに疑問を感じた。
男相手に勃起しないと言われたらそれまでだ。しかし、ここまで愛情表現をされているのだ、そう言われても納得がいかない。
「ねえ。君はちゃんと他人に対して性欲というものを感じるのかい」
「風摩、キリト……、ッ」
一度離した手でもう一度コウスケに触れた。今度は脇腹から腰にかけてを大きく撫でる。当たり前だが、キリトの知る女性の身体とは全く違う骨の造りをしていた。
コウスケがキリトの手を離そうとそれを掴む。だがキリトの身体が大きく動いたことで、意識がそちらに向いた。
「そ、こは」
「……ちょっと硬くなって」
「やめてくれ……」
キリトがコウスケの下腹に触れてそう言った。ムードも何もない。
すっかり見慣れてしまったがバスローブを羽織っただけのコウスケはその下に何も纏わず寝るのが常であった。そのためキリトによって容易に露出させられたコウスケの性器は、キリトが思っていたよりも男だった。
己自身に絶対の自信を持っているコウスケも、まじまじと性器を眺められることは得意ではないらしい。眉間に皺を刻みながらも赤く染まった頬を隠す様子は、神谷コウスケらしくないが、中々興味深いものを見ている気分だ。
「俺とキスして触られてこうなったわけ? 俺に対してコイツを使おうって気持ちはあるの?」
常に自信に満ち溢れているコウスケを追い詰めるのが楽しく、キリトは右手でコウスケの性器を弄びながら聞いた。
男の性器は的確に刺激されれば否応なしに勃起してしまう。それが常に愛を囁いている相手で、しかもこれ以上なく手先の器用な者であれば尚更だ。
キリトによって天を向かされた己の性器を直視できず視線を逸らしたコウスケは、堪えきれない吐息を小さく漏らした。
「一人で感じてないで答えろよ。こっちはそろそろ我慢の限界なんだけど」
「分かった、話す……っから、離せ、キリト」
想像以上にコウスケは快感に弱かったらしい。息も絶え絶えにそう言ってきたので、キリトは渋々と手を離した。
そうしてコウスケが口を開くのを待つ。絶対に逃がさないというキリトの瞳に負けたのか、コウスケは悪戯を白状するような表情で言葉を探した。
「別に、ボクはキミに対してこういう感情を抱かなかったわけじゃない。ペットのようなものだとも思ってたが」
「ペット……。そんな気はしていたよ」
予想通りの言葉には肩を落とす他ない。しかし、でも、と続いた言葉にはキリトも目を丸くした。
「……一度したらそういう目でしかキミを見られなくなる。そう思ったから我慢していた。キミだって元々は女性を愛していたんだ。嫌悪感もあるだろうし」
「驚いたね。神谷コウスケにも、そんな他人を思いやる気持ちがあったなんて」
ふん、と鼻で笑うと、コウスケは「だから言いたくなかった」と顔を顰めた。
人を愛することを知らなかったコウスケも、この四年間でいつのまにか大きく成長していたらしい。何だか途端に胸の奥にこみあげてくるものを感じたキリトは、笑うことでそれを発散させた。
「だから、こういうことはやめないか。ボクはキミを……」
「そんな心配はいらないさ。案外、一回したらもう二度といらないと思えるかもしれないし、俺だって今更男と寝ることに頓着しない。ここまでされてるのに一度も寝ない方がずっと、頭がおかしくなるね」
第一、勃起させながらシたくないなんて、男が言える台詞でもないよ。
キリトはそう言うと、再びコウスケの性器に指を絡めた。
四本の指と手のひらで扱き、人差し指で亀頭の先を撫でる。滲み始めた先走りが性器と手のひらの間で音を立てた。
コウスケに対して性的に欲情したことはなかったが、今のこの表情は、そそられるかもしれない。キリトは指先を巧みに動かしながらコウスケに問いかけた。
「分かってて聞くけど。君って童貞?」
「な……、ば、バカにしたいのか」
「了解。じゃあ譲ってあげるよ」
キリトはコウスケから身体を離して、先走りに濡れた手をぺろりと舐めた。そして器用にも濡れていない片手で寝間着のズボンを脱ぎ、下着も取り払う。
キリト自身も、コウスケの感じ入る表情で興奮を煽られていた。もう今更後戻りはできない。
再びコウスケの性器を愛撫しながら、濡れた手を後ろに回す。
幸運なことに、と表現して良いのか分からないが、キリトは童貞でも処女でもなかった。それならばこの場をコウスケに捧げてやろうというのがキリトの最大限の優しさだった。
だが、キリトの腕がコウスケによって掴まれる。
「……ボクがやる」
「はぁ? やり方も知らないくせに、」
「キミが教えてくれればいい。ボクがキミを愛したい」
コウスケがキリトの腕を強く引いたので、キリトはそのままコウスケの胸に倒れ込んだ。ベッドの上で抱きしめあう体勢になったところで、コウスケの手がキリトの腰に伸びる。
キリトも他人と性的な接触をするのはかなり久しぶりだった。コウスケのキリトよりも大きめの手のひらが、キリトの裸の腰から尻のほうへと這う。
「ッ……、知らないって言いながら、厭らしい触り方、するね」
「褒め言葉だと受け取ろう」
彼なりに、男同士の性行為の方法は学んでいたらしい。コウスケの手はゆっくりとキリトの尻の谷間に入り込み、際どいところを何度か押した。
もう何年も、そういうことに使っていない場所だ。だがそこで快感を拾う術は身体が覚えているらしく、キリトの腰は勝手に跳ねた。
「待、て……、いきなりは無理、だ」
「それなら、どうやって」
「これで濡らせ」
キリトも手を後ろに回し、コウスケの指に絡めた。指先からちゅく、と音が立つ。コウスケの先走りとキリトの唾液に濡れたものだ。
そのままキリトは手先の感触だけを頼りに、コウスケの指を動かして自分の後孔に触れさせた。
「俺のやる通りにしろよ」
コウスケの肩に頭を乗せ、息を吐きながら指先を埋めさせていく。後孔で久しく感じた異物は、しかし久しぶりである割にはすんなりと入り込んだ。
コウスケの手を掴んで、かつて快感を得られていた箇所を探る。ここを使っていた頃は決して望んで行為をしていたわけではなかったが、だからこそキリトの記憶に強く残っていた。
「苦しくないのか? 風摩キリト、」
「……、耳元で、喋らないでくれるかな……っ」
思わずコウスケの指を締め付けてしまい、キリトは強く自己嫌悪した。声で感じたと覚られては恥だ。
しかしコウスケはキリトのその反応に味を占めた。どこで覚えたのか、頬のすぐ隣にあるキリトの耳朶に噛みつき、舌を潜り込ませてくる。
「っは……、ァ、……っく、う」
文句の一つでも言わなければ気が済まないのに、口を開けば気持ちの悪い声が出てきそうで、歯を食いしばることしかできない。その上コウスケは指の動かし方も得てきたらしく、キリトが動かさなくとも自分でキリトの体内を探り始めた。
「どのあたりが良いんだい? 言ってくれてもいいんだよ」
「好きにッ……し、ろ、ッは……!」
「締め付けてくれるな」
ビク、と跳ねるキリトの腰を宥めながら尚もコウスケはキリトの体内を解した。
このままではひたすらにコウスケにいいようにされるだけだ。キリトは身体を起こして、快感で崩れそうになる膝で必死に立った。
「もう、いい。入れるぞ」
「いいのか? まだもう少し、」
「こんだけ硬くさせてるヤツが言える台詞じゃないって、言ってるだろ……!」
コウスケの肩に手を置いて、キリトはコウスケの性器を自ら後孔に挿入した。
ぐぷ、という音がしそうなほど徐々に飲みこまれていくさまが、コウスケの目に鮮明に映る。セックスをしているのだという生々しい光景は決して美しくないはずだが、コウスケは強く惹かれた。
全てを受け入れて、キリトは荒く息を吐く。慣らされているとは言え久々に男を受け入れる感触は、どうやっても違和感が大きくあった。
それでもこのまま終わらせてやろうと、キリトは腰を浮かせて落とす。流れでこの体位になったが、自分で自分の良い場所に宛てられるというのは、行為に慣れていないコウスケを相手にしているキリトにとって幸運だった。
「ッ、……っ、はぁ、……ん……ッ」
「勃起しているが、気持ちいいのか……?」
「は……ッ、生憎と、ね……ッ」
コウスケの手がキリトの頬に伸びてくる。誘われて、キリトは腰を動かしながらコウスケの唇に噛みついた。
思ったよりも、良い。抱かれたいわけではないと思っていたが、抱かれてみれば、これも有りかと思えてしまう。笑い話だ。
コウスケと舌を絡ませ合いながら、キリトは自嘲気味に笑った。その空気の振動にコウスケがうっすらと目を開けたので、唇をより深く繋げる。
「風摩キリト……っ、そろそろ、離せ……!」
「嫌だね。俺の中で、童貞喪失、しろよ……っ」
「――……っ! く、ッは……」
コウスケの性器がキリトの体内でびくりと振れ、中で射精される久しい感覚に、今更失うものなど何もないはずなのに何かを失ったような気持ちを味わう。
キリトもすぐに射精して、ずる、と体内からコウスケの性器を抜いた。後孔から精液が垂れシーツを汚したことで、改めて、今コウスケと性行為をしたのだと感じさせられた。
「風摩キリト」
後始末もそこそこにキリトはコウスケによってベッドの上で正座させられていた。ズボンを履くことは許してもらえたが体内の精液はそのままだ。早く解放してほしい。
「何だ。説教ならやめてくれよ。君だって悪いんだ」
キスばかりしてきて、ひたすらに煽られた結果がこれなのだ。キリトだけではなく、むしろコウスケのほうにこそ責任がある。
キリトが言外にそう言うと、コウスケは違う、と首を振った。
「愛している」
「…………はぁ? 正座させて言う台詞?」
「いや、そうではなくて……ああ、もう何と伝えればいいのかが分からないが」
コウスケは膝の上にあったキリトの手を取り、真っ直ぐ見つめてきた。
「責任は取る。一生ボクの元でLBXを作って欲しいとは言ったが、これからは本当に、一生ボクが養ってあげよう」
「……一回セックスしただけで、重すぎだよ」
「愛している。愛している、風摩キリト……」
何度目か分からない熱烈なプロポーズを受けて、キリトも諦めと共に満更ではない気持ちで、この関係も正解ではないかもしれないが悪くはないなと小さく笑った。
2013.10.09
※設定お借りしました。ありがとうございました。
ダン戦 top