番長/たのしい罰ゲーム ※未完

郷田と仙道(郷仙?)

 二人の勝負は決着がつかないのが常だ。
 いや、この表現では語弊がある。どちらかが勝ち越しても、すぐにまた相手が勝ち、そして同点に並んだのちに再びどちらかが勝ちを上げる。仙道と郷田の力関係は、そういったものだった。
 だから、二人はどちらともなく提案した。「次に勝った奴が今日の勝者だ。一日俺の言うことを聞け」と。
「――ああ、確かに聞いたさ。それで今日は俺の負けだと、正直に認めてやろうじゃないか」
「当たり前だ、お前の負けは覆らないからな」
「でも、だ! お前のその命令は何なんだい。バカらしくて笑いも出やしねえ」
 深く眉間に皺を寄せて仙道が吐き捨てる。「それ」を視界に入れたくないと目をそらして、郷田からも顔を背けた。
 郷田の手にしていたのはいわゆるエロ本と呼ばれるものだった。仙道から言わせれば視界に入れるのも憚られる低俗な。郷田からすれば楽しい娯楽のひとつである。
 郷田はバトルに負けて悔しさに顔を歪めた仙道に向けてこう言ったのだ。「俺の目の前でこれを読んでくれ」と。
 明らかな下心を含んでいると仙道は覚り、嫌悪に顔を歪めた。
「お前がエロ本読んでるところなんて想像つかねえし、俺は潔癖ですって顔してやがるのがムカつくから、エロ本読んでるところを見て写真を撮っておきてえんだよ」
「なんで写真を撮る必要がある」
「ばら撒く」
「死ね」
「嘘だって! ばら撒かねえけど、まあ純粋に興味があんだよ、お前とエロ本っていう組み合わせに」
 郷田はそう言って本を押し付けてくる。仙道は眉間の皺を深くして大きなため息をついた。


お題「あいつの敗北」
2013.09.不明

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