※アニメ設定(非敬語ビヨン)
真夜中。
ビヨンはふと目が覚めた。こんなにすっきりと夜中に目が覚めるのは珍しい。
目をうっすら開けると、辺りは真っ暗で人の動いている気配はしなかった。当たり前のようにビヨンの隣で眠っているニースも静かに寝息をたてている。まだぐっすり夢の中だろう。
ビヨンももう一度寝なおそうと、ニースの方へと寝返りをうった。するとニースの手がビヨンの胸元に当たり、一瞬ビクリとした。
ニースを起こしてしまっただろうかと息を詰めてその寝顔をしばらく見つめる。だが、その瞼が開かれることはない。
ビヨンはほっと胸を撫で下ろし、胸元に当たった手、指を見た。ニースの体に合った、大きな手だ。しかしごつすぎることはなく、優しそうに感じられる。この手がいつも自分を撫でてくれているのだ。愛情をくれるこの手が大好きだった。
ビヨンはその指に触れてみた。流石に触れたら起きるだろうかと思ったが、ニースはまだ寝息をたてていた。
ニースの指先に指先を合わせ、そして長い人差し指の形をなぞるように辿る。少しそうして遊んでいるうちに、何かが腹の底に溜まり始めた。
人差し指。
この指はいつも最初にビヨンの中に入ってくる指だ。
「(……や、ば)」
その様子をリアルに思い出してしまい、ビヨンは思わず顔を赤くした。しかし一度考えだしてしまうと止まらない。
この指が、自分では触れてみたことのない所に触れる。快感をくれる。
リアルに思い出してしまい、自分自身が反応し始めていることに気付いた。浅ましいと自己嫌悪するより先に、どうしよう、と焦った。
自分が今いるのはベッドの壁際で、ニースを起こさないとベッドから降りることはできない。でももう止まらない。
焦る心とは裏腹に自分の体は言うことを聞かなくなっていた。
おそるおそる、ズボンの中に腕を入れてみた。すると自身はすっかり反応を示していて、後戻りができなくなってしまった。
そして、欲しているのは、もっと奥だ。
「っ……」
ビヨンは初めて自分のそこに触れた。汗ばんでいて、入口に触れると指先に吸い付いてくる。
やんわりと撫でると頭の中でその指がニースの指に変換されて、自分の指ではない錯覚がビヨンを煽った。
入口を撫でているだけではとても足りない。つぷ、と自分の体内に指を差し入れた。
「(あつい……)」
初めて触れた自分の中はとても熱かった。その様子が頭の中、ニースの声で再生される。
すると中がひく、と反応したのが分かった。胸元に触れるニースの指を見つめるとそれは更にひどくなった。
「っ……ふ……」
指を中で押し曲げてみる。声が漏れそうになって咄嗟に枕に顔を埋めた。
ニースがこんなに近くにいるのに何をやっているのか。気付かれるんじゃないかという不安が逆にビヨンを煽り、興奮させているのも確かだった。
指先が知らず知らずのうちに気持ちのいいところを探して前立腺をかすめ、体がびくんと大きく揺れた。
「―ッ、はっ……」
息が荒くなってくる。殺しきれない声が何度も喉から出そうになる。
このままではニースにばれてしまう。いや、その前にイってしまいそう。
「にー……すっ……」
押し寄せる波が一際大きくなり、飲み込まれそうになった瞬間、ビヨンの視界が突然晴れた。
暗い金色の向こうに天井が見える。
「そこまでだ」
「…………っな……」
ビヨンが状況を理解したのは数秒遅れてからだった。隣で眠っていたはずのニースがビヨンに覆いかぶさっている。
ビヨンは一気に全身の血の気が引いていくのを感じた。と同時に、顔が熱くなった。
「……っに、ニース…!!」
「我慢できなくなっちゃったのか?」
ニースはビヨンの布団を剥ぎ、ズボンの中に手を入れたままのビヨンを見下ろした。その顔はとてもうれしそうだ。
ビヨンは口をぱくぱくさせて、そしてようやく声を出し聞いた。
「ニースっ、い、いつから……!」
「多分、最初から。ビヨンが気付かれたくないかと思って寝た振りしてやり過ごそうと思ったけど、名前呼ばれたら、もう」
ニースはにこにこと笑いながらビヨンの髪を掻き上げ、額にキスをした。ビヨンは羞恥に言葉も出なかった。
そのビヨンの腰を持ち上げズボンを抜き取り、下肢を露わにさせる。そして両足を持ち上げて開かせ、秘所を眼前に晒させた。
「嫌だっ、ニース、見るなっ」
「もう遅い。いじってたのは前? うしろ?」
「んなっ……、言うわけな……!」
「まあ、すぐに分かるけど」
ニースはおもむろにビヨンの後孔に指を突き入れた。そこはニースが初めて触ったというのにすぐに指を飲み込み、すんなりと奥まで招き入れた。
それはビヨンが言葉で言うよりも明確で分かりやすい答えだった。
「へえ」
「ッ……、わ、笑うな、バカっ……!!」
「笑ってるんじゃない、嬉しいんだよ」
そう言ってニースはビヨンに口づけた。ちゅ、ちゅ、と何度も吸い付きながらビヨンの中に入れた指を掻きまわすように動かす。
ビヨンが自分でやっていたときよりもずっと気持ちが良く、体は快感に震えた。
しばらくそうして慣らして、ニースの指がずる、と抜かれる。しかしすぐに熱く息づくものがそこに宛がわれた。
一番欲していたものがすぐそこにある。無意識にビヨンの腰が物欲しそうに揺れ、ニースは笑みを零した。
「……いれるぞ」
「んっ、……っんぅう……っ」
ずず、とニースのものが入ってくる。ビヨンが既に広げていたそこは苦痛もなくニースを受け入れ、熱いそれを体内で感じたビヨンはため息を漏らした。
ニースは枕を強く掴んでいるビヨンの指を自分の首にまわさせて、体を密着させた。
「ビヨン、痛くないか?」
「痛くないっ……、早く、動いて……」
「今日はいつも以上に積極的だなあ」
ビヨンの頬に口づけて、律動を開始した。ニスもビヨンが一人でやっていたときからずっと我慢していたのだ。もう限界だった。
優しくも激しく求めてくれるニースの動きに、ビヨンはもう押さえなくてもいい声を喉の奥から漏らした。
「あっ、あっ、ニース、ニースっ……!」
「ビヨン、」
口端から唾液を零し目に涙を溜めながら見上げる姿は何よりもニースを煽った。
ぐん、と強く突き上げるとビヨンの口からは甘ったるい声が漏れた。
「ニースっ、も、でる……っ」
「俺も、もう、無理。ビヨン」
「ッあ、あ、あっ、っあぁあ……!!」
ビヨンの奥がぎゅうっと締まり、ニースも耐えきれずに精を放った。荒い息をついたまま放心しているビヨンに口づけて、最初のようにビヨンの隣に寝転がった。
息を整えているビヨンの手を取って握り、もう片方の手でビヨンの頭を撫でた。
落ち着いたビヨンはニースを窺うように顔を見た。ニースは相変わらず笑っていた。
「……ニース…、幻滅、しないのか……? こんな俺を……、」
「幻滅? まさか! 嬉しいじゃないか。俺を思ってやってたんだろ?」
「そ、そうだけど」
「でも俺がいるときは俺を頼ってくれよ。生殺しだからな」
そう言ってニースはビヨンの手をぎゅっと握った。ビヨンは照れたのを隠すようにニースの胸元に顔を埋め、そのまま二度寝をする体制に入った。
***
2010.06.29
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