「わ、最悪…。」

バックを漁ると、忘れ物に気付いた

「…何よ」

「ちょっと忘れ物しちゃったかも」

「あんたが忘れ物何て珍しいわね。仕事に関係あるの?」

「うーん…あるね」

「ならとっとと言ってきなさいよ」

「相変わらず浪江さんは冷たいねぇ」

「うるさいわよ」

ぎろっと睨まれ、早く行かないとめんどうになると予測した俺は忘れ物を取りに家を出た

えーっと…
確かあの事務所に行った時かな

ある事務所に向けて横断歩道を渡ろうとすると、ある人物が目に入った

「!??」

そのまま気付かれないように路地裏の方へ逃げ込んだ

こんな所で会うなんてね…

でも今の時間は仕事中じゃ…

「よぉ」

「…!!」

「俺の姿を見て逃げるなんて哀しいじゃねぇか」

「シズ…ちゃん」

まさか気付かれていたなんてね…

「こんなとこで何してんだ?」

「シズちゃんこそ」

「今は休憩中だ」

タイミング悪すぎ…

「俺はちょっと忘れ物を取りにね」

「ふーん…」

その笑みが怖いよ、シズちゃん…

「ちょうど切れてたとこなんだ」

そう言うと怪しい笑みを浮かべながら歩み寄ってくる

「え、何、煙草?」

「ちげぇ…」

「…っ」

そのまま壁に押し付けられるような体制になり

「臨也君切れ」

「なっ、んっ…」

逃げられないように足の間に足を入れ、唇を重ねてきた

こうなるから見つかりたくなかったんだよ…

別に…嫌な訳ではないけど…

浪江さんが…ね

「シ…シズちゃん」

「んぁ?」

「それはまた今度にしようよ…!」

ぐいっとシズちゃんの体を押して距離をとる

「俺も仕事中だしさ…」

そう言い残してこの場を後に歩き出そうとすると、シズちゃんが見逃す筈もなく強く腕を引っ張られた

「いっ…」

「俺には10分の休憩しかねぇんだよ」

そのまま首筋に噛み付くようなキスを落とす

「10分だけ補充させてくれよ、臨也君よぉ…」


…参ったなぁ 


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