▽ 少し病みかも
























なんて、
なんて愛しいのだろう

わずかな動きにも反応する黒髪をそっと掻き分ける

‥見ているだけでも幸せなのに

僕のモノなんて

きっと僕は神に許された子なんだ

幾度となく込み上げる満足感に浸りながら、雪のように白い頬を撫で下ろす

「‥なぜ」

ふと浮かんだ疑問を素直に言葉にし、吐き出す

「臨也さんはそんなに綺麗なんですか」

「いや、知らないし‥綺麗なんかじゃないし‥」

だが、男はあっさりと返答‥否定を口にする

そんなことありません、そう微笑めば男は俯くだけに終わり、再び頬を撫で下ろす

「臨也さん。愛してますよ」

「俺、は」

「大好きです。ずっと僕のモノでいて下さい」

「帝人君を友達と思ってるし、君のモノでもないんだよ」

自分を恋愛対象として見ていない事実を突きつけられても少年に何か変化が見られる訳もなく

ただただ見つめて、話しかけては、肌に触れる

「ええ。構いません。僕の事を好きでなくても、臨也さんは僕のモノですから」

少年は何を言っているのか

矛盾してるとしか思えない台詞をにこっと笑いながら吐く少年に眠るは歪んだ感情

それは相手に伝わるはずもなく

ただ呆れられるだけで

「よくわからないけど、もう帰っていいかな‥?」

「せっかく会いに来てくれたのにもう帰っちゃうんですか?」

「いや、偶然合ったら無理矢理ここに連れ込まれて‥拉致られたんだよ、俺」

ははっ、と苦笑する相手の言うことは真実だ

しかし少年は受け止めず、会いに来てくれたんだと自分に言い聞かす

例え、臨也さんの目に映るのがあのひとだとしても

僕は臨也さんだけを見ている


‥‥違う


何かを決意したような色が目に映ったかと思えば、所持していた手錠を臨也の手にはめた

「え‥な、なに」

違う‥
それじゃダメだ

臨也さんは僕のモノなんだから

僕以外を見てはいけないんだ

突然高まっていく欲望は更に帝人を歪ませていく

何処へ連れようと何しようと僕の勝手だ

臨也さんは僕の手の中にある

これからは大切に保管しないと‥


無くさないように、無くさないように



気づけば僕は臨也さんの首を、握り潰すように締め付けていた




心が手に入らないなら、


いっそ‥





ついに壊れた帝人。
やっぱり好きな人に他の人を見てもらいたくはないですよね、、




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