「あぁ?なんで手前が俺んちに来てんだよ」

玄関の扉を開く度目に入ったのは苛つくその顔

「そんなこと言われても‥。新羅から頼まれたんだよ」

「‥なにを」

全く心あたりがないのか更に眉間にシワがよる

ため息を一つつくと、ポケットから小さな瓶をつまみあげた

「これを飲めってさ」

「なんだそりゃ」

「俺が知るわけないでしょ」

何も巻かれていない瓶はどこか異様な紫色をしている

「まぁいいや。サンキューな」

臨也の手からそれを取り上げると蓋を素早く開け口へと流し込んだ

「え、そんな異様な物質すぐに飲んじゃっていいの?」

「変なやつだったら殺す」

「全く‥どうなっても知らないよ」

空っぽになった瓶を見つめ、何処までも自由人な静雄に呆れてしまう

「んで‥手前はいつまで玄関に立ってるつもりだ」

「わざわざ届けてあげたんだから御礼くらい‥」

「帰れ」

まぁ、静雄がこういうのも無理はないだろう

なんだったって目の前にいるのはあの折原臨也なのだから

「相変わらずひどいなぁ」

「何とでも言ってろ。とっとと帰れ」

これ以上怒らすと危険なため、苦笑しながら「はいはい」とだけ言うとドアノブに手をかけた

「じゃあね、シズちゃん」

重い扉をぐっと押すと扉が開かないではないか

ん?
おかしいな‥

押しても引いてもビクともしない

ふと顔を上げると、後ろから手が伸びていることに気付いた

その伸ばされた手が扉を開けさせまいとしていたのだ

「ちょ、なに」

「行くな」

「え」

「いや‥さっさとかえっちまえ」

「だからシズちゃんが‥」

「駄目だここにいろ」

「‥‥」

はいいいいい!?

なに言ってるか全く分からないんだけど!


「は‥早く帰れよのみ蟲が‥」

とか言いつつがっしり俺の腕掴んでるし

「じゃあ手ぇ離してよ」

「離したいけど‥離したくねぇ」

矛盾しすぎなんだけど

なにこのシズちゃん変!

「シズちゃん‥俺に行ってほしくないの?」

「早く帰れよ胸糞わりぃ」

「なら手離してよ、帰るからさ」

「嫌だ。離したくない、帰るなここにいろ」

「‥‥」

まじで勘弁してくれ‥

「くっそ‥体と言葉が勝手に‥」

「え」

あー‥
もしかして新羅の仕業かなぁ

後で殺しとこ

てゆーかシズちゃん可愛すぎなんだけど

あぁ‥理性が‥
  
「いいからさ、まず手離そうか。そしたらすぐ出てくしさ。ほらゆっくり手開いて?」

そう言うと静雄は混乱しつつもゆっくりと手を離した

待ってましたとばかりにドアを開けるといきおいよく飛び出した

が、それはまたしても静雄によって妨げられてしまう

片腕でぐっとお腹を抱えられるとそのまま部屋の中へと戻されてしまった

「ぐぇぇ‥勘弁してよ‥」

「こっちの台詞だ!あぁもう何で早くかえんねぇんだよ!」

制御の聞かない体に目に涙をためている

力無く静雄の腕で揺られているといきなりベットに叩きつけられた

「はっ!?ベット!?」

やばいやばいやばいやばいって

「い‥臨也、どうしよ‥止まらねぇ‥」

「や、ちょ、止めてよ!」

震えている静雄の手に胸元を掴みあげられる

「くっそ、手前なんか‥大好きだ!」

「いやいやいや訳わかんないし」

「嫌いで嫌いで世界で一番愛してる!」

「もう怖いよシズちゃん!」

ギリギリと胸元を締め付けられ苦しくなり始める

「のみ蟲のくせに見てるだけで苛々するし頭んなか臨也だらけなのにキスしたいとかセックスしたいとか×××とかしてぐちゃぐちゃにしたいとか思ってねぇし‥!」

「やめれぇぇぇ!!」

なに言っちゃってんのこの馬鹿!

このままじゃヤバイ

完全にオカサレル

「臨也なんか大嫌いだぁぁぁ!!」

大きく叫んだかと思えば俺の自慢のコートを馬鹿力で引き裂きやがった

俺の腹があらわになる

「なにしてんだ馬鹿!死ね!」

「臨也愛してる‥好きだ死ね」

「あぁもう!」

こんなシズちゃん嫌だ

徐々に近付いてくる静雄めがけて思いっきり頭突きをくらわせた

鈍い音が響き、男はベットの上に倒れ動かなくなった

「あーコートが‥」

ボロボロになってしまったコートで無理矢理前を隠すとベットから降り、駆け出す



ガシッと足を掴まれ勢いよく床に引っ付いてしまった

まさか‥と思いつつも足の方を見るとかなり不機嫌な静雄の顔がありしっかりと足を握っている

「い〜ざぁ〜やぁ‥早く出ていきやがれ‥」

「もうほんと帰らせて‥!」

結局、薬の効果?がキレるまで臨也は帰れず‥





臨君可愛いあ←
今度は臨君に薬飲ませちゃおうかなー

なんて、ね






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