―――扉を開けるとそこは、中世ヨーロッパだった。



もしも王道君が地味で平凡で気弱ないじいじっ子だったら。
【生徒会長編】




あの後、源に教室に戻れ、と放り出され渋々授業に出た。
刺々しい空気の中、陽が傾くにつれわくわくしだした。

光は、この学園に転入する時決めたことは、2つあった。

まずは友達を作ること。
前の学校では、地味な容姿と消極的な性格が相まって、1人も友達ができなかった。
だから今度こそは、と意気込んでいたのだ。

次にここ、そう食堂でお昼を食べること。
この帝都学園は、日本屈指のお坊ちゃん学校。
何もかも一流なこの学園は、食堂もまた一流なのだ。


有名建築士が設計の下、その様はまるで中世ヨーロッパの装飾が施されていた。

元来、アンティーク好きで、男にしては珍しく特にロココ調が大好きな光は、この学園の食堂は眼福だった。

(パンフレットで見た通りだ!わあ、宮廷のサロンみたい!すごい、すごい!)

目を煌めかせ、食堂の隅々まで見ていた光だったが、それが災いした。

―ドン!衝撃を受けた身体が後方に尻餅をついた。
前方を見ていなかったため、何かにぶつかってしまったのだ。

「何だ、お前」

その声に食堂が静まり返った。

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