もしも王道君が地味で平凡で気弱ないじいじっ子だったら。
【続・生徒会長編?】




―今夜、俺の部屋に来い、相手してやる



(どうしよう、どうしよう)

光は自室でおろおろしていた。

食堂での出来事の後からあまり記憶がなく、何となく授業をうけたような、誰かに何か言われたような気がしたが我に返ると自室にいたのだ。
そうして昼間の会長の言葉を思い出し右往左往していた。

(相手してやるって…僕、僕、ケンカなんてできないよ!)

一旦落ち着こうとリビングに行き、備え付けの冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し一気に煽った。
そこでやっと一息ついたのだが、

「なに俺の物を勝手に飲んでんだ?ああ?」

地獄の住人のようなおどろおどろしい声が背後から聞こえ、血の気が急降下した。

「お仕置き、だなぁ?」


ひっと悲鳴を上げるも遅く、ソファに投げ飛ばされ、源が乗っかかってきた。
その表情は、怒りではなく、寧ろ楽しんでいるようだったが、光は気付ける余裕がなかった。

いよいよ本格的に行為に没頭しようとする時、光はあることを思い出した。

「ま、まま待ってくださいっ!」

「あ?」

「あの、僕、約束がっ!」

「は?んなもん知るか、明日にしろ」

「で、でも生徒会長が…」

「…生徒会長?」

制止を聞かずに続けようとした源だったが、予想外の人物にぴたりと止まった。

「生徒会長に何て言われたんだ?」

「えっと…今夜、部屋に来い、相手にしてやるって」

「お前、行く気だったのか?」

今まで聞いたことのない源の冷たい声と刺々しい雰囲気に光はガタガタと体を震わせた。

「行かなきゃっいけな、いのか…わ、わかんなっ…くてっ」

泣きそうになりながら答えると、ふっといつもの源に戻り光は安堵した。

「んなもん行かなくていい、金輪際、永久に、な」

「は、はい」


(不良の源さんが言うくらいだもん、ケンカしに行かなくていいんだよね?)

「お前は俺の奴隷だってわかってないみたいだな」

「え…あぁっんっ」

「たっぷり身体に教え込まないとな」

「あっあ、あぁっ」




生徒会長フラグ、消滅

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