はっとした次の瞬間には異様な空間に飛ばされていた。隣には同じく状況を理解しようと無言で辺りを見回しているマカオさまとジョマさま。一面真っ白の空間の中で、ど真ん中にはドアが一つとその上にモニターが一つあって目眩を覚えた。


「これは少し前に流行った〇〇しないと出られない部屋ってやつでは!?」


食い気味にそう言って振り返ってみると、マカオさまとジョマさまが2人して何言ってんだこいつみたいな目で見てくるのでしんどい。


「ちょ、そんな目で見ないで下さいよ」

「だってねぇ」

「そんな都市伝説信じるわけぇ?」

「だってこの状況どう見てもそれですよ。さっきからあらゆる魔法試してみてるんですけど何一つ発動しないし」

「…それはそうだけど」


ていうか仮に本当だとして誰得なのよ。そう眉を下げながら零したジョマさまに私は大いに同感したい。ほんと誰得!?噂で聞いた限りだと、出られる条件はエログロから始まり様々だった気がする。中には下らないのもあったはずだから是非その辺の軽い物にして欲しい。最悪何時間後に開く系でも全然いい。そんな縋る思いでいると不意にモニターの画面がついて文字が展示された。それを読んだ直後3人とも同じ顔をしてげっ!と固まる。


「課題1、バードキスをどちらかの歳の数だけしないと出られない…」


ああああっ!思い切り叫んでしまいたい気持ちになったよね。何この視聴者の期待を裏切らないような展開。なんとなく気まずい空気。マカオさまとジョマさまが揃いも揃ってわたしの事を見てくるので悪寒が走った。


「いっ、嫌ですよ、私」

「そうね、最悪私とマカオでキスしても構わないけど」

「よく考えてみなさいよ。課題1って事は2と3もあるって事じゃないの?1人2つずつ課題をクリアしないと出られないって事じゃないの?」

「えっ、え?そういう感じなんですか?」


確かに、3人で閉じ込められるってあんまり聞いた事ないし、その分条件も増えてる可能性は大いにあり得る。「バードキスならまだ軽い方だと思うけどね」軽いトーンで言ったジョマさまにうっとなった。そ、そう言われると、そうかも…。悩むに悩んだ末仕方なく、仕方なーく重たい口を開いておもむろにジョマさまへと視線をやった。


「…分かりました。ジョマさま、お相手お願いしても宜しいでしょうか」

「ええ、いいわよ」


快く承諾してくれたジョマさまに浅く息をつく。ヤバい、ちょっと、いやとても緊張。


「しかし歳の数だけってヤバくないですか。ジョマさまって今お幾つでしたっけ」

「そうねぇ、途中で数えるの止めちゃったから具体的には微妙だけど、100は超えてるわね」

「…私に合わせる感じでいいっすか」

「もちろんよ」


私も人の子に比べればそれよりも生きてるけど、まだ2桁だからね!3桁はさすがに…。冷や汗混じり、じゃあお願いしますと真剣な眼差しでジョマさまを見上げた。ジョマさまは割と受け身タイプだから。静かに瞳を閉じたジョマさまに失礼して、頬に手を当てさせて頂きながらぐっと爪先立ちになって唇を合わせた。これは一度止めたら一気に恥ずかしさが来るやつだと察して、そのまま勢いで何度も角度を変えながら唇を重ねていく。こんなにムードのないキッスがあっていいのかってくらいの高速キスで。ちゅっちゅと響くリップ音に羞恥心を煽られている気がしたけど、無心で作業に集中してひたすら回数を数えた。うおお、早く終われえええーっ!

きっちり自分の年齢分終わらせると、どこからかピンポーンとかいう効果音が響いたのでからゆっくり離れる。んふふ、擽ったいわね、と少し照れたようにジョマさまが笑った。そーですね…


「取り敢えずこれで課題1はクリア!」


次はもう少し軽めの奴で頼むぞ!?そう意気込みながら勢いよくモニター画面へと視線を移した、そして頭を抱えた。


「課題2、ディープキスをどちらかの歳の数×秒でしながら胸を揉まれないと出られない」


さっきよりも確実にハードルが上がっている!?いやー、しんどいしんどい!むりぃ。これは無理ぃ!項垂れて渋る私に、マカオさまとジョマさまがやぁねぇお下品と顔を顰めた。


「でもこれもあなたにしか出来ないんじゃないのぉ?」

「そうよォ、アタシ達には揉める胸なんてないものねェ」

「…いやいや、お2人共こう見えて筋肉質ですし。雄っぱいなら、」

「アンタ馬鹿ぁ?だからよく考えてみなさいって。少しずつハードル上がってんのよ?次に何が来るかなんて大体予想出来んでしょ」

「そうよ。あなた私たちのどちらかと関係モテるの?まぁ、アタシは全然マカオと出来るし構わないけどね」

「うふ、アタシもぉ」

「…マジかよ」


ヤバすぎぃ!ポッと頬を染めながらお互い見つめ合ってる2人に軽く引きつつ、かといって私もこのどっちかと身体の関係を結ぶのはキツイ為覚悟を決めた。不等号の向き的には間違いなくマカオさまとベロちゅう>マカオさまとエッチになっている。ビクビクしながらマカオさまの前に立てばやだぁ、そんな怯えたウサギみたいになっちゃってとマカオさまに茶化されて息を飲んだ。

ぐっと腰を抱かれつつ、先程のジョマさまとは違い主導権はマカオさまにある為大人しくされるがままに迎い入れる。優しく唇が押し当てられて、そのまま柔らかく唇を割って入ってくるマカオさまの舌に眉間へと皺が寄った。私の舌を追いかけ回すマカオさまのそれ。くちゅくちゅとやらしい音が耳について、身体が自然と反応してピクリと跳ねる。


「んっ、ふ、ぅ」


マカオさまは、普通にキスが上手い。少しだけ気持ちいい、かもしれない。とか知りたくない事実を知ってしまって何とも言えない気持ちになっている間にも、マカオさまの手が伸びてきておもむろに胸へと触れた。


「んんっ!」


どうしよう普通に気持ちいい。やわやわと感触を確かめるように揉まれて、途端に身体の力が抜けそうになるのでひっそり慌てる。やばい、マカオさまに感じさせられてるとか本気でシャレにならない。ピクリピクリと、跳ねる感覚が段々と短くなっていくのが自分でも分かった。きゅっと、不意にマカオさまに一番敏感な部分を摘まれて目の前がちかっと爆ぜる。


「あっ、ダメ、マカオさま、っ!」

「ちょっと、口離しちゃダメじゃない」


目を細めながら艶っぽく笑ってマカオさまが舌舐めずりをする。それにまたぞくりとしながら縋るようにマカオさまと舌を絡め合った。ピンポンピンポーンと鳴り響く効果音が少し遠くで聞こえた気すらして、酸欠で順調に溶けつつある脳みそでゆっくりとマカオさまから離れる。


「っ、は、あ…これで課題2もクリア…」


もう流石に私は解放されるよね?次どんな条件が来ても絶対にもう呑まないからね!?息絶え絶えに、少し不安の入り混じる心境のまま新しくモニターに発表された文字を目で追いかけた。そしてついに膝から崩れ落ちた。


「最終課題、3Pで最後までイかないと出られない」


悪意しかない!おい誰だ裏で糸引いてるやつ!ズキズキと痛み出したこめかみを押さえながら項垂れる私に、後方から刺す影が2つ。正直振り向くのも怖かったけど、もしかしたらだなんて淡い期待を抱きながらゆっくりとした動作でお二人を見上げた。


「こうなったら仕方ないわよねぇ」

「さっきのでアンタも丁度いい感じにトロンとしてきた事だし」


ねぇ?揃えられた2人の声に涙目になる。ラスボスはやっぱりマカオさまとジョマさまだった。



20190202


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