ここも中々の重労働だと思う。温泉Gメンの邪魔をしたり、陰謀の為によく分からない超巨大ロボットを作るのを手伝ったり、団員にご飯作ってあげたり温泉Gメンの邪魔したり。大忙しである。因みに私はお風呂大好きなのだが、ひょんな事からここ悪の組織に巻き込まれ気がつけば団員の一人とされてしまった。別に世界をどうにかしてやろううんぬんなどに興味は無いのでお家に帰りたいと言ったら、我々の秘密を知ってしまった以上君を帰すわけにはいかないとベタなことを言われた。うん、おかしくない?別に知りたくて知った訳じゃないわ。そっちが勝手に新入りと間違えてベラベラ喋り出した癖に!

しかしまあ、一応住み込みでお給料もそれなりに出ているので、就職困難な世の中取り敢えずここで働いている。ボスやかおるさんの機嫌が良い日なら焼き肉も食べさせてくれるため、うん、悪くはないと思う。因みに、お風呂入れないなら脱隊しますと言ったところシャワー設備だけはつけてくれた。


「あ、ジョーだー」


仕事終わり、廊下を歩きながら自室へ向かう途中でジョーを発見したので声を掛けると、マスカラに塗れたぱっちりお目目と視線が合う。実はここに就職して良かった点が、もう一つだけあったりする。


「はぁい、ナマエ。あら?随分と疲れた顔してるじゃない」

「毎日真面目に働いてるからね!それはそうとねジョー、今日もお願いしていい?」

「はいはい、言うと思ったわよ。ついて来なさいな」

「わーい」


ジョーが元マッサージ師と聞いて一度腰のマッサージを頼んでみたことがあった。正直期待という期待はあまりしていなかったのだけれど、彼のテクニックは素晴らしかった、予想以上だ。気持ちよ過ぎてマッサージが終わっても暫く動けなかったもん。あれからというもの私はすっかりジョーのマッサージに惚れ込んで、こうして度々お願いしている。


「それじゃあ始めるけど」

「あ、今日上脱いでもいい?汗いっぱいかいたから、少し湿ってて気持ち悪いの」

「いいわよ」


本当はシャワーを浴びてからジョーのマッサージを受けるのがベストなのだが、それまでジョーに待ってもらうのも申し訳ない為今日は仕方ない。くるりと後ろを向いたジョーに私も背を向けて服を脱ぎ、ベッドへ伏せた。


「もーいいよー」


ジョーが蒸しタオルで私の背中を丁寧に拭いていく。もうこの時点で心地がよくてついうとうとしてしまっていると、不意にジョーの指が腰に触れた。


「ん、」

「ナマエは相変わらず凝りやすい体質してるわよねー、揉みがいがあるわぁ」

「ふっ、う、ジョーのマッサージも、相変わらず、気持ちよい、ね、うっ、ん、」


リズムよく腰を指圧されて少し鼻にかかった声が漏れ出る。けれどいつもの事なので対して気にせず、大人しくジョーのマッサージを受けながらぼーっとしていた。きもちー、蕩けそう。暫くの間はそうやってジョーに身を委ねていたのだが、唐突にジョーがねーえ?と声を掛けてきたのでそっと瞼を持ち上げる。


「服も抜いじゃった事だし、マッサージしにくいからこれも外してもらっていい?」


これ、と、ジョーの指がとんとんブラのホックを叩いた。え?うーん…。さすがに上半身全部脱いでしまうのは少し抵抗があり迷ったのだけれど、マッサージではよくある事だろうし、何よりどこぞのエロ漫画みたいに、まさかジョーが私の半裸を見たところで変な気を起こしたりしなんてしないだろうと思ったから、私はうんと静かに頷いた。パチン。音を立ててホックが外れる。再びベッドに寝そべるとジョーが近づいてくるのを気配だけで感じ取る。意識はしてないつもりだった。けれど感覚は変に背中に集中していて、触れられた拍子に思わずぴくりと反応してしまう。落ち着こう、相手はジョー、ジョーだから。

ジョーが女じゃなくて男に興味があるというのはまあ見た目からもそうだし割と有名な話で、歳が比較的近くて意外にも流行に敏感なジョーとはかおるさん以上に仲良くなれた。あそこのメイク用品よくないわよねうんぬんはかおるさんの方が上だが。ジョーとは主に恋バナとか、男をドキリとさせるテクニックだとか、そういう話によく発展する。ジョー曰く、耳元で甘く「ね、シよ?」とでも囁けば男はイチコロだとか。残念ながらまだ試したことは無いけれど。


「ナマエは肌が綺麗で羨ましいわ」

「えー?ジョーも中々肌綺麗だと思うけど。色白だし」

「あらー、本当?嬉しいからこれサービスぅ」

「ふあっ!?」


気持ちいい、の域を越えていた。ぐっぐっと押し込まれる指が私のイイ所を刺激している。ちょ、んっ、なに、これ。滑らかに滑るジョーの指先にぞくぞくと全身が震え、堪らずシーツを握り締めた。


「や、ジョーっ」

「気持ちいでしょ?これが元マッサージ師の本気」

「んんっ!それっ、ダメ…!」

「うふふ、はいはいここね」

「ん!」


もはや喘ぎ声だ。ていうか、エロい。ここの壁も厚いとはいえないことだし、こんな会話漏れたら大変なことになると手の甲を口に押し付けたのだけれど、「うふふ、声、我慢しなくてもいいのよ」とかまたやらしいイメージを連想させるような台詞にやんわりと手をどかせられて恥ずかしくなる。ただのマッサージなのに!官能じゃないのに!これは男もイチコロなはずだよねと納得していると、ジョーの両手がしっかり私の腰を鷲掴みびっくりした。今度はなんだ。


「んぁっ、ま、待って!ストップ!ストップー!」

「ん?どうしたの?」

「も、もう少し、手加減して、気持ち良すぎてどうにかなりそう」

「もー、我儘ねー」


とか言いながら、ジョーの手つきが変わり受ける衝撃が和らいだのに脱力する。はああああ、やっぱりこれくらいが丁度いいなあと最初こそそう思っていたのだけれど、五分もするとそれが逆にもどかしく感じてきてしまったので何とも言えない。なんていうか、気持ちよさがじんわり来る感じ?でも決して快感ではないの、焦らされてるっていうのかな、身体の内側からじわじわ来るのがなんか、ちょっと…物足りない。


「どうしたの?すっかり黙り込んじゃって」

「…何でもない」


どんどん身体が火照ってきて、疼いて堪らない。でも柔らかめにお願いと言ったのは私の方なので、今更もう一回激しいのでお願いなんて図々しくて言えなかった。それ以前にこんなの恥ずかしくて言えない!でもジョーのこのマッサージの仕方はなんていうか、やらしい。いつもはこんな官能的なマッサージじゃないはず。一体どうしたんだろう。


「ジョー、今日は随分と気合入い入ってるね」

「あら、そーお?」

「うん」


してることはただのマッサージだけど、与えられるのはマッサージとは別の気持ちよさだ。もうここまで来るとわざとでは?と不審に思い始めたものの口には出来なかった。まさか、だってジョーだもの。私を感じさせたところでなんの得にもならないだろう。はっ!いやでも、もしかして私の困った顔が見たくてわざとやってるとか?それで嘲笑うつもりなんだ!当たり?なら「もっと」なんておねだり絶対しないんだからねジョー。


「ナマエ、気持ちいい?」

「うん、気持ちいいよ」

「そう?でも顔はどこか不満そうだけど」

「…」

「顔、真っ赤よ?」

「ジョー、」

「うん、なぁに?…黙ってないで早く言っちゃいなさいよ。ほら、ね、もっと気持ち良くなれるわよ」


耳元で小さく、それもやけに艶やかな声で囁くから。あぁもうこれ絶対わざとだと悟って堪らずジョーを睨み付けた。


「っ、やっぱり確信犯なんだ!もういいよ、私の負けだよ。好きなだけ嘲笑うがいいわ!」

「ぷっ、何で泣きそうな顔してるのよ」

「だって焦らすだけ焦らして何この羞恥プレイ。ううっ、ジョーの意地悪ううう」

「はいはい、ごめんねって」


ジョーの指に力が入る。想像以上の快感に思わずびくびくと身体が痙攣した。堪らず逃げだそうと身体を捩るけど、腰をしっかり鷲掴まれて定位置に戻されてしまった。再び漏れ出す喘ぎ声と、生理的に涙が溢れてきて目が潤う。っううう、何これエロい。


「ジョー、やっぱり今日、なんか変だよ」

「うふふ、そうね。でもナマエが悪いのよ?煽ったりなんかするから」

「へ?」


煽る、とは?聞こうとした所に、するりと彼の手が私の胸元に滑り込んできて悲鳴を上げた。


「ぎゃああああ!なになになに!」


訳が分からなくてパニックの私に、ジョーがニコニコしながら柔らかーいだとかほざいた。ちょ、ちょ、待っ!心臓バクバクで顔は真っ赤。驚きすぎて涙も引っ込んで、頭の中では嫌な予感がぐるぐる渦巻いてる私の上でジョーが続ける。


「駄目じゃない、そんなホイホイ服脱いじゃあ。無防備にもほどがあるわよ?」

「えっ、え?」

「半裸で喘がれてそんな物欲しそうな顔されたらねえ、そりゃあ堪ったもんじゃないわよ」

「じょ、じょー?あの、ハメる相手間違えてる、私女の子」


くすくす。とても楽しそうに笑ったその後で、その自慢の大きな手に首元を撫でられ呼吸が止まるかと思った。


「あのね、女よりも男に興味があるってだけで、全く女がダメって訳じゃないのよ」


ぞくり。低く響いた声に戦慄。あ、しょせんジョーも男だったっていうそういう、

嫌な汗が止まらない。固まったまま動けないでいるとジョーが私の耳元に唇を寄せ、おもむろに例の台詞を低く囁いてあと思った。


「ね、シよ?もっと気持ち良くさせてあげる」


ー脳髄まで浸透させてー



(ジョーのテクニックは間違いなく男も女も落とせると思った瞬間)


20151003

服を脱がれた辺りからムラムラし出したジョーさん


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