あり飴さんから 相互リクエスト小説



さくらんぼ



さくらんぼのヘタを口の中で結べる人はキスが上手いと耳にしたことがある。
単純に舌が器用に動くから出来る芸当であって、科学的な根拠もなしにある程度練習すれば5回に1回の確率で出来るモンだろうが、と俺は半ば半信半疑な思念に駆られた。
食べるのがもったいないぐらい綺麗に皿の上に盛られた小さな果実に手を伸ばす。

艶やかな光りを放つ赤い宝石を口に運ぶとみずみずしい果汁と芳醇で豊かな甘みが口内に広がる。
しかし、さくらんぼは美味しいが本題はそこじゃない。
本来は捨てるべきところである食べ残しのヘタを口に含み、舌で結ぶように動かす。
端から見ればただ口を動かしてる、おかしな光景にしか映らないが。


「さっきから何しちょるんじゃァ」


先ほどから口をもごもごさせている俺を見たサカズキが不審そうに声を掛けてきた。

「ん〜…?ちょっとね、実験
・・・・ホラ、出来た」

見ればヘタは綺麗なリング状で結ばれ、我ながら上手く出来たモンだと関心する。
俺ってキスが上手かったりするモンなのね…


「知ってる?さくらんぼのヘタを舌で結べる人はチューが上手いんだって」

「ったく、お前という奴は…
そんなんで遊んでる暇があるなら、仕事を…」

サカズキはあからさま呆れたようなため息を吐いた。
あららら、面倒なことには巻き込まれたくないって顔してるな。

相変わらず感情が分かりやすく顔に出やすいから、見てておもしろくてしょうがない。


「まさか出来ないワケじゃないよねぇ…
“大将”とも呼ばれる男が」

“大将”のところをわざと強調し、プライドを刺激するような言葉を投げかける。


「上等じゃァ、受けて立つ」


そら簡単に乗ってきた。
ここで引いたんじゃあ、他の海兵に示しがつかないもんね。
サカズキはそういうところで意外と単純だったりするのだ。

ま、お手並み拝見ってとこで…





◇◆◇





何本目のヘタだろうか、よくもまぁ、あれだけあった数を減らしたものか。
皿に盛られたさくらんぼはほとんどなくなりそうだ。

「やっぱサカズキ下手だね
さっきから全然出来てねェじゃん」

「やかましい
今ワシに話しかけるな」

ほら、すぐそうやってムキになる。
安い挑発には乗るが、俺のことなんて全然見てないじゃない。

挑発なんかすぐ乗るくせに目の前の俺を見てないなんて、なんだかサカズキの、その瞳が憎たらしくなった。
自分で相手に振っときながら、あさはかで子どもじみた嫉妬だと思う。
ただ、単純な好奇心から試しただけなのに


「俺が教えてやろうか…?」


「は?何を・・・・」


サカズキが言いかけた言葉とともに唇を塞ぐ。
一瞬だけ唇と唇が触れるようなキスだが、仄かにさくらんぼの甘い味がした。

ほんの数秒足らずなキスにも関わらず、顔色を覗き込めば案の定な光景。

「キスの仕方」

「〜〜〜〜ッ!」

さくらんぼみたいに真っ赤に染めた顔を見て、俺は内心ほくそ笑む。
やっと見てくれた、と…
それだけで安心してしまう俺も十分単純な存在なのだけれど


「こんなんで照れちゃだめじゃない…、大将と呼ばれる男が」


「・・・ッ、うるさいわ…!」



初めてのキスは、さくらんぼの味


リク:クザサカで初キス

あり飴さんと相互リンクという契りを結んだのでリクエストお願いしたらこんなステキな小説が・・・・ありがとうございます!!
ハァハァサカズキさん可愛いよハァハァ・・・・・


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(11.02.14)




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