38000hit ジョバンニーニさん



サカズキは書類を片手に廊下を歩いていた。
期限が今日の書類を部下に届けさせようと思ったのだが部下は全員忙しそうで、頼むのは気が引けた。
そのためたまには自分で届けさせようと書類の運搬をしているのである。
その書類の届け先はセンゴクだ。彼ならどこぞの誰かのように自分が届けに来たことを良いことに長々と留まるような用事は与えないなとサカズキは安堵していた。


「しかし・・・どいつもこいつもわしを何だと思うちょるんじゃァ・・・」


最近サカズキはよく人に捕まる。
書類を届けに行けばお茶はどうですかだの、少し休んでいってくださいだのと言われ、留まらざるを得なくなる。
人捜しに道場を覗けば、鍛錬の監督をしてくださいだの少し指導してやってくれだの言われて渋々道着に着替えて海兵の相手をしてやる。
最初は別にどうとも思わなかったがこうも毎日毎日絡まれると仕事に支障が出始めるのは自明の理で。
断る技も覚えたが断り切れないこともある。
そのため脳内でイメージトレーニングしてから相手の所へ行く必要があり、唯一安堵して行ける目的地と言えばこれから行くセンゴクの部屋ぐらいだろう。


「・・・失礼しますよ」


そう断ってから中に入るとセンゴクは机から視線を外してサカズキを見た。
そしてサカズキであることを確認してから、ふっと微笑む。


「どうした」

「書類です」

「そうか。わざわざすまんな」


こんな淡泊で事務的なやり取りは久しぶりだとサカズキは思った。やはり仕事と言えばこんなやり取りが自分には合っているようだ。公私を混同したようなやり取りはどうも合わない。


「そういえば最近書類の提出が遅れているな。まぁ期限は守っているようだが」

「は・・・申し訳ありません」

「・・・何か困ってることでもあるのか」


センゴクはそう優しく聞いてきた。
サカズキは特に疑うこともなく事情を説明する。
するとセンゴクはゆっくりと立ち上がってサカズキの前に立った。


「それは大変だな」

「じゃけェ言えば分かってくれますし・・・大層困っとるわけじゃあないんですが・・・」


サカズキはそう恐縮そうに頭をかいて言った。
確かに困っていると言えばそうだが、センゴクに言ってしまうとまるで告げ口をしたような気になり、サカズキはそう意見を付け加えておいた。


「まぁ仕方ないだろう。皆、お前のことを好いているんだ」

「・・・ほうですか?」

「あぁ」


そう言われてサカズキは少し驚いた。
自分のやり方は海軍内でも煙たがられていることは知っていた。
だからと言って自分の正義を曲げるようなことは一度もしていないため、それがさらに反感を買っていることも知っている。
そのため海軍内で自分に好き好んでついてくる者など部下ぐらいだと思っていたが、それ以外の海兵達の行動はそんな自分を上司として好いてくれている故の行動だったのかとサカズキは、完全にセンゴクの言った言葉をはき違えて理解した。
しかしセンゴクはそのことを分かっていない。


「私もだ。分からないわけがないだろう」

「ほ、ほうですか・・・それは・・・」


それは嬉しい。
そう照れくさそうに笑って言おうとした瞬間だった。
センゴクはおもむろにサカズキの腰を抱いてきた。
突然だったため転びそうになったサカズキはつまずいた勢いでセンゴクにしがみつく形になってしまう。


「げ、元帥・・・?」


そう戸惑ったように言葉を漏らせば、センゴクはそのまま腰をすっといやらしく撫でた。
そんな微妙な触れ方にサカズキは思わず声を漏らす。


「ひっ・・・元帥っ・・・ふざけんといてくださいっ・・・あっ・・・」


センゴクの手が下に滑り、今度は尻を撫で回す。
抵抗しようとサカズキはセンゴクから身体を離した。
しかしセンゴクは空いた手で今度はサカズキの服に手を入れて乳首に触れ始める。


「あっ・・・うぅ、げっ元帥っ!」

「大将になってからこんな服装をするようになったな・・・誘っていたんじゃないのか」

「ちっ違いますっ・・・!」


実際この服装の転換は大将としての威厳を保つためにこの服にしたのだ。
この胸元の開いたシャツが海兵を誘っている形になって、自分が絡まれる結果になっていることをサカズキはまだ知らない。


「っく・・・堪忍してくださいっ!」

「っ」


失礼だとは思ったが、サカズキは思いきりセンゴクを突き飛ばした。
サカズキの本気の抵抗にセンゴクはよろめいて離れる。
そして表情を伺うべくサカズキの顔を見た。


「・・・・・」


表情を見て、センゴクは思わず見とれてしまった。
サカズキの顔は普段とは比べものにならないほど女々しかった。
顔を真っ赤にさせて、恥ずかしそうにセンゴクを見ていて怒っていることは容易に分かる。


「いくらわしでも・・・お戯れが過ぎると怒りますけェ!」

「戯れじゃなければいいのか」

「それでもいけんですよ!もうわしは帰りますけェのう!」


やはり怒りが頂点に達したらしい。
そう怒鳴りつけて、サカズキは踵を返す。
その恥ずかしそうな後ろ姿がやけに面白おかしくて、センゴクは後ろから声をかけた。


「どこに行くんだ」

「修練場です!」

「そうか。脱ぐ時にその真っ赤な突起を見られんようにな」


そう冗談まじりに言えば、サカズキはカッと頭に血が上ったかのように顔をさらに赤らめて普段の忠実な自分も忘れてセンゴクに怒鳴りつけた。


「もうええですけェっ!失礼します!」


サカズキはそう吐き捨ててずかずかと部屋を出て行く。
そしてそのまま早足で廊下を歩く。
センゴクだけは真面目だと思っていたのに。
そんな期待を裏切られたような感覚がサカズキの中でうずまいていた。


「・・・・・・」


苛々しながらもサカズキは廊下を通り抜ける。
そして気分直しに外を見ようと首を右にひねって、サカズキは驚いた。


「っ!」


ガラスにうつった自分の顔は真っ赤でいつもの自分らしさは消え、女々しくなっている。
そんな自分にわいた嫌悪感を感じたと同時に、そんな自分にさせたセンゴクに対しての怒りが突然膨らんだため、サカズキはそれを解消させるために苛立たしげに修練場へ歩を進めた。


38000hitを踏んでくださったジョバンニーニさんに捧げました。
リクエストは「センサカで普段真面目なセンゴクにセクハラされて困惑するサカズキ」でしたが・・・どうでしょうか?
これでよければどうぞ〜^^
では38000hitありがとうございました!

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(10.08.11)




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