キッチュさんへ ※ぬるい性描写あり



・警官パロ
・初期設定のサカズキさんがクザサカにちょっかい出す話



警察署の廊下を白髪で角刈り頭の男が歩く
黒いコート、黒いジーンズ、そしてじゃらじゃらと音を立てる鎖のアクセサリー。
その風貌からとても警官の類とは思えないこの男はひどく不機嫌だった。


「ったくクソ警官が・・・・」


サカヅキはそう悪態を吐く。
高利貸しという職業柄、違法すれすれの取引を行なっていると必然的に警察にお呼ばれされてしまうことが多い。
しかし法に触れているわけではないので警官との駆け引きの結果はいつも釈放という名の勝利で終わる。
ただ問題なのはこの駆け引きで貴重な時間がなくなってしまうことで。
今日予定していた取り立ては中止にせざるを得ない。
そう思うと少しむしゃくしゃする。
今日は大人しく家に帰って新しい獲物でも品定めしていようかなど思っていた、そんな矢先だった。


「ん?」


二階の廊下の奥にある男性用トイレに見慣れた男が入った。
あまりに身近すぎる男の出現に思わず身体が止まる。
あの見慣れた角刈りにコート。間違いなく我が弟サカズキだ。
いや正確には元弟だろうか。
高利貸しなんて職業に就いたばっかりに勘当されてしまった身だからかサカズキは自分を兄と呼んでくれない。
多分サカヅキが警察にたびたび呼ばれていることはサカズキ自身も知っているのだろう。
ただ前述の理由から避けられているだけだ。
どうせ今追いかけても見知らぬ他人として扱われてしまうだろう。
今は帰っておこう。そう思いながらそのトイレを通り過ぎようと止めた足を動かそうとした瞬間だった。


「ん?」


今度は見慣れたというか知っている男が入った。
クザンだ。確か弟と出来ていると噂の男。
いつもなら無視して帰るものだが、自分の勘がこれは面白いことが起きるぞと言っている。
恋人同士が同じ便所に入る。これは何かあるに決まってる。


「ええ気晴らしになりそうだな・・・・」


サカヅキはそう人の悪い笑みを浮かべて、トイレのドアの前まで足音を立てずに近付いた。
そしてそっと中に入る。
中には誰もおらず、換気扇がぶーんと音を立てて回っていたがよく見ると三つあるうちの一番奥個室が使用中になっている。
どうやらサカヅキの勘は当たったようだ。


「・・・・・」


そっと中に足を踏み入れて個室の前に立ち、耳を澄ませると確かに中でサカヅキの期待通りで予想通りのコトが行なわれていた。
今はまだ前戯中らしい。
弟の甘い声と、クザンの息づかいが小さく聞こえる。


「っん・・・・ぁ・・・・っ」


サカズキの声が少し大きくなった。
昼間からこんな所で営みとは随分溜まっていたらしい。
録音でもしておきたいところだが、残念ながら録音機の類は持ち合わせていない。
とりあえず今は飽くまで訊いていようとそっと壁に背を預けてタバコを吸う。
消音の目的でつけたのか定かでないがその換気扇のおかげで煙でバレることもない。


「っあ・・・は、ぅあ・・・・ザンっ・・・・・」

「・・・サカ・・・・・・るよ」


だんだん声が換気扇ではかき消えないぐらいの大きさになってきた。
どうやら互いにのって来たらしい。そろそろ弟の後ろに自分の一物でもぶち込む頃合いだろうか。
ガリッとドアに爪を立てる音が聞こえ、サカズキの一際淫靡な悲鳴が聞こえた。
ここでやるほど溜まっていて、なおかつ人が来ない思い込んだのか互いにのって来たのだからそろそろ面白いことになるだろう。
そう思ったサカヅキは短くなったタバコを床に落とし踏みつけて火を消した。
向こうはもう挿入し終わり気持ちよく愛し合っているようだ。
ドアは激しく揺れていてもう声など丸聞こえに等しい。


「うぁっ、クっクザぁ・・・・っ!」

「あ〜・・・・大丈夫。もう終わるから」

「やっ・・・中に出すなァっ!仕事に行け、っん!」


そういえば先ほど、サカズキの所属する課はこれから家宅捜索に行くのだと小耳に挟んだ。
確かに中に精液を孕んだままでは仕事もしづらいだろう。
だんだん互いの息づかいの感覚が短くなり、どうやらクザンは出すことに決めたらしい。


「あ、あぁ、あっ!た、頼むけェ中はァっ!」

「何言ってんの。こんなにノリノリのくせに・・・・っ」


そろそろか、とサカヅキは手で拳を作りそっと上げる。
そしてわざと大きめの音で個室のドアをガンガンとノックした。
中で息が止まったようなひっという声が聞こえたが、今は無視だ。


「おい、もうちぃっと静かにやれや」


サカヅキはまるで騒音を出す若者にかけるような軽い言葉を二人に浴びせた。
しかし意外とクザンはショックを受けなかったらしい。
まだ腰を動かし始めたらしく、サカズキの戸惑ったような声色の喘ぎ声がまた聞こえてくる。
大人げない馬鹿馬鹿しい下らぬ悪戯だったが、サカヅキは満足げに笑い踵を返す。
もうここまで来れば果てる所など聞かなくとも満足だ。


「じゃあ、ごゆっくり」


そう言い残したサカヅキは今度はわざと足音を大きく立ててトイレから何食わぬ顔で外へ出ていった。


キッチュさんが元気なさそうだったので捧げました〜


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(11.01.03)




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