ぼけ犬さんへ 53000番キリリク



→ドラサカ現パロ
→サカズキは警官設定だがあんまり関係ない




自分の家とは全く違うリビングでサカズキは洗濯物をたたんでいた。
おそらくあの面倒な同僚になぜ余所の家でそんな家事に勤しんでいるのだと問われればサカズキは隠し立てせずに一週間前にと前置きをした上で説明をするだろう。
そう。ほんの一週間ほど前、上司が発したこんな一言がこんな現状を作り上げた原因だった。


「わしの息子の家で家事をしてくれないか」


当たり前だが断った。
上司の息子と言えども自分からすれば関わりのない存在だ。
それに自分がそれを頼まれる意味も、頼みを聞く道理もない。
しかし何故結果的にこうなってしまっているかと言うとそれは上司であるガープが自分の否を聞いてくれなかったからというサカズキ自身ではどうしようも出来ない問題があったからだ。
それに一週間たった今はすっかり慣れたのかあまり苦に感じなくなってきたような気もする。


無論、そう思ってしまっている自分をサカズキは決して認めたくないのだが。


「ただいまー!あっ、赤いおっさん!」

「サカズキと呼べ。このクソガキが」


そう過去の出来事を振り返っていると勢いよくドアが開いて閉まる音がして、しばらくしてから大声を出しながら元気よく子供が入って来た。
帰ってきたのはこの家の主の息子で名はルフィ。


「おっさん!今日の飯はなんだ?」

「・・・・・・・お前らの好きな肉じゃ」

「本当か!?ありがとうおっさん!」

「じゃけェ・・・・あぁ、もうええわい」


肉、と言っただけで最大の至福と言わんばかりに目を輝かせられては先程まで抱いていた納得のいかない不満感はすぐにかき消えてしまう。
今日までサカズキが不満を爆発させて出ていかなかったのはルフィのこの笑顔があったからだろう。
いくらおっさんなどと嬉しくない名称で呼ばれてもこの笑顔だけでついどうでもよくなってしまう。
しかしそんなたった一つの太陽も一人の男によってたちまち不満感に埋もれてしまった。


「ルフィ。たまには野菜も食わないと強くならんぞ」

「あ、父ちゃん!おかえりー!」

「ド、ドラゴン・・・・」


ついにこの家の主で、彼の父親で、上司の息子である男のお出ましだ。
どうやら今日はルフィと一緒に帰ってきたらしい。
何をしているのかは定かではないが、一般市民であることはその風貌が全否定している。
上司が警察関係者である以上、いかがわしい職業ではないだろうとは思うが上司はおろか本人からすら聞いていないのだから結局分からず終いだ
それ以前にサカズキには興味すらない事項だが。


「かっ帰ってきたならばただいまぐらい言わんかっ!」

「あぁ。すまん・・・・それより今日の飯は肉か」

「ぐっ・・・」


どうやらサカズキの言葉はしっかり聞こえていたらしい。
肉料理の類が好物であることはこの親子の数ある中の共通点で、サカズキはそれをちゃんと覚えていた。
しかしそれがドラゴンにとっては意外だったらしい。
自ら進んでこの家に来たわけではないことは知っていたため、てっきり覚えているわけがないかとばかり思っていたのだから当然だろう。
しかしすぐにそれを都合良しと思ったドラゴンはゆっくりと腰を降ろして座っているサカズキと目線を合わせた。


「覚えていてくれたのか」

「こいつが毎日喚くけェ嫌でも覚えるわい」

「いや・・・・あぁ。言葉が足らなかったな」

「ん?」


ドラゴンの言いたいことがよく分からずサカズキはそう小首を傾げた。
そんな動作がいちいち愛しくて実父にさり気なく頼んだかいがあったなと思ってしまう。


「おれたち”親子の好物”だと覚えてくれたんだろう」

「っ・・・・別に貴様の好物だとは・・・・」

「ん?そうなのか?おれには”お前ら”の好きな肉・・・と聞こえたんだがな」


そう言って得意げな笑みを浮かべてみるとサカズキはしまったと言わんばかりの表情でドラゴンを見た。
しかしすぐに視線を逸らし、平静を装い畳み終わった洗濯物を片付けようと立ち上がる。
サカズキがこの場から去る自然な動作としては妥当な逃げ方だったが自分が後を付いていけば、そんな動作はすぐに無駄に終わることをサカズキは忘れていたようだ。


「なぁ。覚えていてくれたんだろう?」

「やかましいわ・・・っ。偶然じゃっ!」

「偶然なら何故逃げる」

「別に逃げとりゃせっ・・・!」


ドラゴンの尋問に苛立ちを募らせたのかサカズキは勢いよく後ろに振り返り怒鳴りつけようとした。
しかしその瞬間ドラゴンは隙ありと言わんばかりにサカズキの腰を抱き寄せた。
突然息がかかるほど顔が近付いてきたためサカズキは思わず持っていた洗濯物を全て落としてしまう。


「なら何故そんなに顔が赤いんだ。分かりやすい」

「っ・・・・!」


ドラゴンの言葉にサカズキは言い返そうと口を開いたが言葉が出てこなかったのか口は開いたままだ。
それを良いことにドラゴンはサカズキの口をゆっくりと塞ぐ。
色気の欠片もない呻き声が聞こえたが、抵抗もない身体に内心ほくそ笑み舌を入れ歯列をなぞった。
ぞわぞわとした快感のような何かがサカズキの背筋から腰へ伝わっていく。
しかし、ドラゴンが腰に添えていた手を下に降ろした瞬間サカズキは手のひらを返したかのようにドラゴンを突き飛ばした。


「いっ・・・!」


突然突かれたためか自分の身体はいとも簡単に後ろに倒れ不覚にも尻餅をついてしまった。
その痛みに耐えようととっさにつむった目のせいで、次に開いた時はすでにサカズキの姿はどこにも見当たらない。
どうやら台所に入ってしまったらしく台所から家事の音が聞こえる。
廊下にはサカズキが落としていった洗濯物の山と、拒否された行き場のない龍の手がむなしく宙をただよっていて
台所では早くいつも通りに戻そうと赤い顔を右手で隠すようにして覆っているサカズキの姿があった。


リク:ドラゴン×サカズキ
53000番を踏んでくださったぼけ犬さんに捧げました。
好きなようにとおっしゃっていただいたので好きなように書いてしまいました。いかがでしょうか・・・・ドキドキ
ドラゴンの押しに知らず知らずのうちに惚れちゃってるサカズキさんとか乙漢で大変おいしいかなとか思ったりしたんですが・・・・
こんなのでよければどうぞ〜><

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(10.12.24)




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