ささまさんへ 相互リンク感謝文



双子の兄弟と言えば聞こえはいい。
しかし残念なことにサカズキ達の場合、世間の人々が憧れているようないわゆる神秘的な関係というわけではない。
どちらかと言えば双子かと疑うほど二人は似ていなかった。

方や大将赤犬として海軍に君臨し、海兵からの信頼は絶大で性格はきわめて真面目で正義感が強い弟。
そして方や特に定職に就いているということも聞かない、わりと不真面目な発言が目立つ兄。
もし双子でなければ腹違いの兄弟とさえ言われそうである。


「おぉ・・・早ぇな・・・」

「貴様が遅いんじゃ!バカタレ!今何時じゃあ思うちょる!」


兄がある日突然やってきてしばらく泊めてくれと頼まれ、半ば強引だったとは言えその意見を聞いたのがそもそもの間違いだったとサカズキはひどく反省をしていた。
泊める部屋はあるが問題は彼の生活リズムと自分のリズムが著しくかけ離れていることだ。
寝る時間は大差ないもののサカヅキは昼間近くになって起き出してくるため食事の用意が面倒なのだ。
無論一日でサカヅキは食事の類は自分でやるということになってしまったのだが、それでもサカズキの苦労は絶えない。
宿泊四日目にして冷蔵庫の食材の減りが以前と変わらないのを知ったサカズキがサカヅキに問いただしたところ、食事をほとんど摂っていないことを暴露したのだ。

そんな生活ではいつ体を壊してもおかしくない。
そこで結局、サカズキは朝に弁当を兄に作りメモを置いて仕事に行くという大変手間のかかる朝を送ることになってしまったのだ。


「ったく相変わらず細かい事言いやがって。んなんじゃ婿のもらい手がつかんな」

「ちゃらんぽらんの貴様に言われとうない」

「まぁあと三年ぐらいもらい手が付かんかったらおれが嫁に貰うけぇ。安心して暮らせ」

「いらん!」


兄の軽口をそう一蹴してサカズキは軍帽をかぶりいつもの薄桃色の薔薇を胸元につける。
どうやら仕事に行くらしい。
しかし今は昼時。仕事に行くにしてはかなり遅い時間だ。


「今日は随分遅い出勤だな。重役出勤か」


そう嫌味っぽいことを言うとサカズキは鋭い眼光でサカヅキを睨み付けた。
一般の人間ならそれだけですくみあがりそうだが、兄弟であるサカヅキからすればもう慣れたものだ。
慣れすぎて逆に可愛げすら感じてしまう。


「わしが見とらんと貴様飯すら碌々食わんじゃろうが」

「ほう。おれの心配か・・・」


サカズキから言わせればただの小言だったのだろう。
しかしそんな小言にかすかな感情が入り交じっていることを兄である自分が気付かないはずがない。
そしてそんな小言をからかいの材料にしないほど自分も人が善いわけでもない。
そう核心を突いてみればサカズキはそんな考えに至ることが信じられないという表情を"作りつつ"こちらを見た。


「まさか弟におれの身体を憂ってもらえるとは思わなんだ・・・おれは幸せもんじゃのう」

「ちっ違うわい!貴様に倒れられたら面倒なんじゃっ!つけ上がると追い出すぞっ!」

「いっ!」


ついつい調子に乗りすぎたらしい。
サカズキが武器たる物を持っているのを忘れていたサカヅキの頭に、先ほどまでサカズキが持っていたハンガーが飛んできた。
痛みに顔をしかめていると、サカズキはさっと踵を返して視界の隅に消えてしまう。
昔から素直でないことは知っていたが、どうやら相変わらずのようだ。
それではあのクザンとかいう男も愛想を尽かして離れていきそうだな、と都合のいいことを考えながらサカヅキはふっと笑い今日の昼食を探しに立ち上がった。


ささまさんへ相互リンク感謝文として捧げました^^
リクはささまさん宅の「サカヅキ×サカズキ」でしたが・・・いかがでしょうか?
まさか他の素敵サイト様の赤犬兄弟の小説を書かせていただくとは思ってもおらず大変興奮しております!
ささまさん改めてよろしくお願いします〜^^

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(10.12.15)




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