ぬくめてあげる / クザサカ



雪もちらつく寒さの中。
外よりはずっと温かいクザンの家のソファに寝転がりながら、サカズキはクザンの帰宅を待っていた。
きっと寒い中帰ってくるのだろうと思い、部屋を暖めていつでもお茶の用意が出来るように算段した、が。


「遅いのう・・・・」


帰る直前に部屋を覗いたらば、中で大量の書類を処理しようと奮闘する珍しい恋人の姿が見えたのだ。
これは邪魔をせずに家に帰り、苦労をねぎらう準備でもしておいた方がいいだろう。
そう考えて今に至るわけだが、肝心の本人がなかなか帰って来ない。


「ったく・・・部屋が冷えちまうぞ・・・・」


サカズキは暇を持て余したかのように体制をうつ伏せに変え、ぶら下がった腕をぷらぷらと揺らした。
遅い。本当に遅い。
外は大雪と言うわけでもなく、子供でも気張れば帰れそうな天候だ。
そう心配の芽を芽吹かせては摘み取り、芽吹かせては摘み取りを繰り返していると、突然ガチャガチャと鍵が開く音がした。
帰ってきたのだろうかとゆっくり体制を仰向けに変えて居間の出入口に目をやる。
するとドタバタと足音が廊下に響き、バタンっと騒々しくドアが開いたかと思うとクザンが寒そうに体をさすりながら部屋に転がり込んで来た。


「おぉ・・・・おかえ、っおお!?」


おかえり、と言う前にクザンは騒々しく出入り口からサカズキの寝転がるソファまでズカズカと向かう。
その勢いのままコートを脱ぎついでにネクタイを緩めてから、クザンはついにソファーの上にダイブした。
無論ソファーの上にはサカズキが寝ているのだからクザンの体はサカズキの上に覆い被さるわけだが。


「ただいまァ〜」

「っ!・・・何じゃ。冷えきっとるじゃあないか・・・」

「だって外すんげえ寒かったもん。そりゃあオレだって冷えるよ」


そうぼやきながらもクザンはサカズキの上で手袋を取り、床に投げ出す。
確かに寒かったらしい。手袋越しにも関わらずクザンの手は赤くなっていた。
これは相当寒かっただろう。そう思いながらサカズキはお茶でもと提案しようとした、が。


「ひぁっ!」


クザンは突然サカズキの着ていた温かそうなセーターの中にその冷えた両手を突っ込んだ。
あまりの冷たさに思わず妙な声が出てしまったがクザンは全く気がついていないかのように気持ち良さそうに顔をほころばせていた。


「あ〜・・・サカズキの中温けェ〜」

「や、やめんかっ!くすぐったいんじゃけっ、ぁ!」


暖かな部屋にいたサカズキの皮膚は温かく、冷えきったクザンの手には丁度よい温度だったらしい。
ただサカズキからすればたまったものではない。
せっかく温まった身体であるのもそうだが、クザンの冷えた手が自身の身体を這っているという事実が少し耐え難いものがある。
しかしクザンの手はそんなことお構いなしに腹から胸へと移動し、しまいにはサカズキの人並み以上の胸を揉み始めた。


「んっ・・・んぁ、な、何で揉む必要があるんじゃァ・・・・!」

「カイロみたいに揉んだら発熱するかなぁって・・・・ほら、顔赤くなってるじゃないの」


調子づいたクザンにそれは無駄だということさえ忘れ、サカズキは顔を真っ赤にして怒鳴った。
正義のコートを着ている時はこの怒鳴り声ほど恐ろしいものはないだろう。
しかしいざコートを脱ぎ二人きりになれば、大将赤犬という恐るべき存在などあっという間に凍てつかされ凍結されてしまう。


「馬鹿、かっ!もうええじゃろう!離せェ!」

「ん〜・・・・もうちょっと・・・・」

「やめえ言うとろうがァ・・・・んはぁッ!」


クザンはそう恍惚そうに呟きながら乳房を包んでいた手を移動させ、四本の指を脇にやり親指でサカズキの乳頭をグリグリと弄び始める。
それが想像以上にキたのか、散々制止の怒号を飛ばしていた口さえも簡単に支配されてしまった。
そのうち身内に焦がれるような感覚が生まれ、ただの戯れだと思っていた触れ合いはサカズキの中ではいつの間にか行為の前戯としてすり込まれていた。


「んん・・・・んうッ・・・・は、クザン・・・っ!」


身体をのけ反らせ、背中を軽く浮かせながら自分の責めに耐える様はおそらく本人が意識している以上に艶かしく色っぽい。
しかし嫌と言うならば今日くらいやめてやってもいいだろうか。
クザンの脳内にはそんな気まぐれと言うべき珍しい考えが浮かんでいた。


「ん。やめるってば・・・・そんなに睨まないでよ・・・・ッ?」


サカズキの視線を痛く感じたクザンはそう言って手を抜き、サカズキから離れようとした。
その瞬間だった。
クザンの身体は固定されたが如く動かなくなってしまった。
否、無理に動けば動けないこともないため正確には“動きづらくなった”と言う方が正しい。
それからわりとすぐにクザンは動けなくなった原因を後ろを振り向くことによって知った。


「・・・・サカズキ?」


振り返って、組み敷かれた恋人に視線を戻すとサカズキは情事前によくある伏し目がちで真っ赤な顔になっていて。
ひどく珍しい動作と言えば、サカズキの二本の足がクザンの腰をわりと強めに挟んでいることだろうか。
挟まれていること自体は特に珍しいと讃えるほどではない。これは押し倒した時に必然的にサカズキの足と足の間に割り入ったせいだ。
しかしこれは明らかにサカズキ自身が自らの意思でクザンの腰に足を絡めたとしか思えない力加減で。
そう考えればこの体制は一気に“お誘い”という意味を帯びて、非常に珍しい体制となる。


「・・・・・始めたんなら・・・・最後まできちっとやらんかいバカタレが・・・・」


サカズキのそんな艶めいた言葉が耳に届いただけで自動的に身体の中心に熱がたまり、吐き出したいさらけ出したい衝動がクザンを支配していく。
本当にいいのか。そう愚問を問おうとした瞬間。
意外な返答が、意外な声色でクザンの耳に届いた。


「寒かったんじゃろ・・・・うが」


今日は寒さのあまり、少しいつもの自分が凍てついてしまっていたようだった。


誘い受けサカズキが書きたくて
クザンを足で挟んで動けなくするポケモン:サカズキ的なものも書きたくて
サカズキの雄っぱい揉みまくるクザンも書きたくて〜・・・・
とりあえず詰めた感じです。グタグダ!

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(11.01.22)




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