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決して叶わない恋をしていました。叶わないどころか伝えることすらできない恋でした。どんな努力をしてもどうして、どうして手が届くところにいてくれないのと、恨んだ日もありました。だけれど私はあなたが一心にバスケをしている姿がいっとう好きだったのです。本当に、ただ一心にあなたの幸せを願ってしまうほどには。一度だけ、あなたとあの人が、キスをしているところをお見かけしたことがあります。余りにも絵になりすぎていて、息をのんで佇むしかできなかった私に、あなたはきっと気付くことすらなかったでしょうね。それどころか、私の存在を知っていたか怪しいものです。ふふふ、そう考えるとなんだか、可笑しいですね。
そんな私も今日でこの学び舎を去ることになります。当然あなたも、そしてあの人も。風の噂であなたが進学する高校を聞きました。残念ながら私の進学する高校とは全く違うところでした。あなたの大切なあの人も同じ高校に行くらしいですね。もうあなたを垣間見ることも、そのお声を聞くこともできなくなるのでしょうか。そう思うと、やはりどこか寂しいですね。それではどうか、お元気で。



追伸 好きとも声に出せないこの思いをはたして恋と呼んでいいものか、未だに甚だ疑問なのですが、それでも恋い慕っております。いいえ、おりました。青峰君



(120609)