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「なーにしてンの?」

突然かけられたその声にびっくりして顔をあげると、そこには当然声の主がいました。声の主、そう、泉くんはニコリと笑って私の返事をまっているようです。

「い、泉くん!えーと、あ、洗ってるの」
「そんなん見ればわかんじゃん、何を洗ってんのかって聞いてンの」
「えっと、私、マネージャーだから、タオルとか…雨のときボールふくタオルとか、あと、なんか…いろいろ!」
「なんだそれ、」

みょうじオモシレー、とくつくつと笑いました。緊張で自分が何をいっているかわかりません。自然に歪む泉くんの顔をつう、と汗が流れていきます。本日はとても暑いのです。夏です。

「泉くん、汗、流れてる」
「へ?」
「ちょっと待って」

私は急いで洗い場に散らばったタオルの中からなるべく綺麗そうなものを手にとりました。蛇口を捻ると冷たい水が手を濡らして気持ちいいです。そのまま水にならしてギュッと絞り、泉くんに手渡しました。

「ははっ、サンキュっ」

どうしてこんなに泉くんは爽やかなのでしょう。その笑顔はきらきらと輝いて、アイドルにも引けをとりません。帽子を外し、手渡したタオルで汗をふいています。

「暑いなー」
「う、うん、ほんとだね!」
「熱中症ならないように水分補給はしとけよ」

みょうじってすぐ倒れそー、とまた泉くんは笑います。そんなことないよ、という声も小さくなってしまい、どうやら彼には聞こえなかったみたい。

「タオルありがとな、気持ちかった」
「ううん、練習、がんばって!」

そういうとまた私はごしごしとタオルを洗うことに戻ります。泉くんの影がなくなる前に、向き合うのを止めたのは緊張がピークに達してしまったからです。

「ははっ、細っけー」

なのに泉くん、私の手首を急に掴んだかと思うとからからと笑います。私は驚いて泉くんの顔を見つめました。突然の接触に私はどうしていいかわかりません。ただ、触れた部分だけがやけに熱いのです。

「ねえ、その反応さ、キタイしてもいい?」

ニヤリと笑ってそれだけ言うと彼はさっさと走り去っていきました。昼下がりの日差しに頭がくらくらします。もう、この頬が熱いのが暑さのせいなのかそれ以外なのか、私にはまったくわからないのでした。



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Song by レミオロメン ロックンロール
(120520)