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「#エロ」のBL小説を読む
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あんまりに長い滞空時間。体育館全ての時間と、私たちの呼吸が止まる。大きなアーチを描いたボールは、重力なんかに逆らったりせずにまるで媚びへつらう猫のように従順に落下した。すぱんっと、リングを通り過ぎて、地面に落ちる。緑があまりに主張しすぎている緑間くんの、その一連の動作。あまりのなめらかさに、鳥肌が立った。

あ、ごめん最後のはスラムダンクから引用した。

ピーッと試合終了のホイッスルが鳴った。私の手のひらは汗でじんわり湿っていた。あの、一応、手汗ひどい方じゃねーから!あのね!言っとくけどね!隣を見るとリコが真剣な顔をしてコートを見ている。眉が寄っていた。そう、負けたのだ。とても僅差で、それでも負けは負けだ。ごくりと、喉が鳴った。…うん、止めよっか!ちょっとシリアスにしてみたけど無理っぽい!うん!ごめん!身の程知らずだった!ごめん!
試合が終わって、軽い休憩をとるようだ。私はそろそろご飯を作りにいかなければならない。部員たちはこっからまた少し練習をして、クールダウンとやらをして風呂に入ってから夕食をとるらしい。私はそれまでにあの大量の食事を作らなければならないのだから…そう…これは試練なのよ…知ってるわ…(遠い目)


「せーんぱいっ」
ぅじゃほいやあ!!ってびっくりした…あ、なんだ、えーっと…」
「お疲れ様っス!オレのこと、おぼえれくたっスか?」
「お、覚えたよ、ほら、あれでしょ、えっと…」
「えっとお?」
「た、鷹の目くん!
「…」
「…ど、どやあ…」
「ぷっあっはっはっはっは!マジで!?マジで!?ぷっはっはっはっは!!!
「わ、笑いすぎじゃない?笑いダケでも食べたの高尾くん
しかも普通に知ってるし!!ぷっはっは!やっぱ先輩おもしれーわ!オレの目に間違いはなかった!!」
「な、なんでこの子興奮してるの気持ち悪い…
「いやいやイミワカンネーから!そこで引かれる意味!」
「とまあじゃれ合いはこれくらいにして、っと」「じゃれ合いだったのかよ!」
「あ?誠凛のキャプテンさんっスか?」
「おお、日向くんお疲れ」
「ああお疲れ…じゃねーよ!何普通に他校と仲良くなってんだお前!」
「えーなんでよお、私の勝手じゃな〜い。あと一つだけ言うと仲良くなった覚えは微塵もない
「ちょっと!つれねっスよ先輩!」
「だってこの鷹の目くんが話しかけてくるから…」

私は鷹の目くんもとい高尾くん(汗だく汁だくバージョン)を横目に見ながら日向くんにそう言い訳した。日向君は大きなため息をついて、ダァホと言ったかと思うとちっと舌打ちをした。…え!?今の私が悪かった!?私のせい!?え!?高尾くんはそんな私たちの様子を見ながらニヤニヤと笑っている。汗だくの顔を時折拭っていた。食えないやつだ。

「まあいいけどよ…頼むぜ、お前にはオレたちの飯がかかってんだから…」
ちょっと。あんたら私のことなんだと思ってんのよ。わかってますー!今から宿舎に戻ろうかなって思ってたところだし!」
「ええ、先輩もう行っちゃうんスかあ?」
「行っちゃうんスよねえ残念」
「とにかく、頼んだぞ間違ってもリコだけには…

そう言う日向くんのスネ(汗だくだった)を思いっきり蹴飛ばして転がした。さらっと持ってたハンカチで足についた日向くんの汗をぬぐいその場をあとにする。しつっこいわ眼鏡!
高尾くんはそのあとを着いてきた。


「もー、高尾くんまだ練習あるんでしょ?戻んなよ」
「まだ休憩だからいいんだって!」
「まーいいけどさあ…てかあの?鷹の目?ホークアイ?ってどうなってんの構造が意味わからん」
「えー?それ説明して先輩わかる?」
「うわ、敬語なしかよ青二才が
「ぶはっ!辛辣!やべー先輩いちいちツボなんスけど…!」
「高尾くんの笑いのツボがわからないよ…BPOに電話しようかな」
放送倫理・番組向上機構…!!
「すげえこの人なに…?噛まずにすらっと言えてるよ…高尾くんまじハイスペック!
「はっはっはっは!…え?それ褒められてますオレ?」
「褒めてる褒めてるちょう褒めてるやばい死にそうかっこ棒読み」
「最後!!最後言っちゃいけない台詞まで言ってるっスよ!!」
「あー今日のご飯何作ろうかなあ〜(無視)あと何回私ご飯作るんだろ…鬱…っと、わっぷ」
「あ」
「…いっけない私ったら☆柱にぶつかっちゃった☆」

「柱じゃないのだよ」

「はい?」
「…あー」
柱じゃないのだよ



おおっとお…私の前に立ちはだかった電柱…ではなくビッググリーンマン登場…!

(121003)