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「なまえちーn「なまえ!」」

室ちんのやけに浮ついた声がオレの声をかき消した。おーい、室ちーん。オレがなまえちんを呼んでるところだったんだけど。ていうかなまえが振り向くタイミングでオレの前に立つの止めてくれない?自分のために振り向いたみたいで嬉しいとか思っちゃってるかも知んねえけどそれ錯覚なうえに図々しいよ?ね、よく見てよ室ちん。なまえちんの顔。ゲッ、みたいな顔してんじゃん。…ねえ、オレの話し聞いてる?聞いてないよね?なんなのもう…ほんと捻り潰すよ?

「あれ?敦、聞こえなかったかなオレの声」
「うーん…こっち来ないってことは聞こえなかったんじゃない?(絶対違うと思うけど…)」
「でも振り返ったじゃないか!」
「えーと…(それはオレが呼んだからでしょ…)うん、そーだね」
「まあいいか、オレがなまえのところに行くとしよう!」
「いってらっしゃーい」

室ちんがすごい勢いでオレのもとを走り去っていく。クールな室ちんはどこに行ってしまったのやら、そりゃあもう、なまえちんが引くほどの迫力があるのだろう。なまえちんの体が少し後ろに傾いているのがその証拠だ。

「ちょっと、なんで氷室先輩いつもいつも私にちょっかいかけてくるんですか…!」
「そんなに決まってるだろ、運命だからだよ」
「意味がわからない!謎い!」
「責めるなら俺たちを出会わせた神を責めるんだね…本当に罪深いお方だ」
「ここぞとばかりにミッション系の色混ぜてきましたね!図々しいですよ!」
「まあそれは冗談としても…なまえが心配だからだよ」
「あんたは私のお父さんか!なにこの人怖い!」
「いやあもう、その白い足が白日のもとにさらされているかと思うともうオレは心配で心配で…」
「今はジャージ履いてるしさらされてません!」
「大体そこまで心配するほどの価値がみょうじにないアルよ…」
「ちょ、劉先輩一言余計です!なんなんですかこの部は!」
「さあなまえ…観念してこっちに来るんだ…」
「きゃあー!やめて!来ないで!劉先輩助けて!」
「ちょっとみょうじ、オレを盾にするのは止めるアル」
「いいからなんとかしてください!」
「何してんだよお前らー。まーたじゃれてんのか」
「あ!福ちゃん先輩!…は小さくてちょっと盾にできそうにないんでいいです!」
「なんでオレ来たばっかでディスられてんの…?」
「福井先輩、劉先輩、そこをどいてください」
「め、目が怪しい光を放っているアルよ」
「お、落ち着け氷室…な?な?」
「あとは頼みました!氷室先輩私が欲しければその二人を倒してください!」
「あ、おいみょうじ!待つアル!」
「お前はどっちの味方なんだよ!」

体育館をなまえちんが颯爽と走り抜けている。室ちんはというとその言葉を馬鹿正直に間に受けたらしく、先輩たちの前に仁王立ちしていた。目がぎらぎら光ってるってゆーか室ちんまじでなにやってんの…?この部にはまともなやつはいねーの?練習始まんねえならオレお菓子食ってい―かな…てか帰っていいかな…ぐるりと走り回ったなまえちんは気付けばオレの後ろにいてがっちりとTシャツの裾を掴んでいた。ふうと溜息をつくその顔には玉の汗が浮かんでいた。

「はあ、敦の後ろなら完璧に安心」
「なんだよー、今度んまい棒ね」
「こんなしょーもないことで友達にたかんないでよ」
「…室ちんのこと、別に嫌じゃないんでしょ」
「嫌に決まってるでしょ、氷室先輩ちょっと怖いもん」
「でも毎日一緒に帰ってんじゃん」
「それはー、あれでしょー、危ないとか言って先輩が勝手についてくるだけだしー」
「…あれ、なまえちん首のところ蚊に刺されてるし」
「え!?嘘!?どこ!?」
「…おおっとお、何その反応」
「…」
「…」
「…私なんか言ったっけ?」
「しらばっくれ方下手すぎでしょ…そっかー、そういうことか」
「な、なんのことかな敦クン」
「室ちん手はやーい」
「ちょっと!なんか勘違いしてるよ!ちょっと待って!!」

ぎゃあぎゃあ騒ぐなまえちんの首根っこを掴んで黙らせる。ぐえっと蛙みたいな声が出た。それを確認するや否や、あー、また室ちんが走ってこっちに来る。もうめんどくさいんですけど。なんだそれ、意味わかんないし。こんだけ部内ひっかきまわしといて結局二人仲良くやってんのかよ。付き合いきれねー。はいはい、つまりあれでしょ、なんだっけ、

…あ、そうそう。思い出した。リア充乙。



That's enough!

いいかげんにしろ!




四島さん リクエスト ありがとうございました!
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