×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -





血潮











溢れる





みょうじなまえは、綺麗だ。可愛いというよりは美人と言った方がいいかもしれない。その透明感のある肌は白く輝き、長い髪は歩くたびに美しく靡いた。赤司征十郎は、美麗だ。バスケ部と思うと少し低目なその身長も、がっしりしているというよりはどこか華奢な印象をもってしまうその体格、どれもとっても中性的な美しさを持っていた。「赤司くん、おはよう、今日も素敵だね」「…みょうじ、おはよう」「ふふ、私、赤司くんのおかげで今日も学校に来れたよ!ありがとう!」「…意味が分からないのだけど。ボクは君のために何かしたつもりはないよ」「そんなことないよ!赤司くんは私の神様だもの!」「…」「赤司くんがいるから私は今日も生きていられるの」「…そうか」赤司はそう言うとなまえから目を逸らし読書を再開しだした。朝のホームルーム前の話である。「赤司くん!」「赤司くん、」「赤司くんあのね!」「赤司くーん」一日の間で、彼女は何度赤司の名前を呼ぶだろうか。誰か統計を取ってデータ化してほしいものだと、赤司は思う。彼女は完璧だった。出すぎた真似は決してしなかったし、分別があった。その姿はだれが見ても赤司に恋する乙女であったし、赤司にもそれは歴然とした事実であった。だけど赤司は、なまえにそれを告げることはない。多分これからもずっと。こんなことがあった。以前、赤司はなまえに訪ねたのだ。「なんで僕の名前を呼ぶの。君は僕のことが好きなのかい?」と。なまえはきょとんとした顔をしたかと思うとすぐに満面の笑みを浮かべた。その顔はとても可憐で、さすがの赤司もつい見惚れてしまうほどだった。「何言ってるの赤司くん、当たり前じゃない」「そうか」「そうだよ、だって、赤司くんは私の神様だもの!」「…それってさあ、僕も、みょうじのこと好きになってもいいってことかい?」きゅるるるるる、となまえの頭の中で何か巻き戻る音がする。「…?どういうこと?聞こえない、赤司くんが何を言ってるか聞こえないよ」「…なまえ?」「名前なんて呼んじゃダメだよ!赤司くんは神様でしょ!雲の上にいるんだから!振り向いてくれたりしなくていいの!赤司くん赤司くん、そんな、顔を、しないで!」なまえはその場で頭を抱え座り込んでしまった。意味が分からないと、赤司は思った。聞こえない、聞こえない、全部聞こえないのだ。彼女は双方向性など最初から求めていなかったのだから。なまえが求めているのは、自分の神としての赤司だと、ようやく理解した。そんなことがあってから赤司は彼女に対する一切合切の認識を、変更したのだ。だが敗北をしたつもりは毛頭ない。それは勝利や敗北の次元から大きく逸脱したものだったからだ。

「…おもしろいじゃないか」

なまえが赤司を思って幸せそうに顔を歪ませるとき、赤司はひどく楽しそうに笑う。歪んでいる、どうしようもなく歪んでいるのだ。なまえが浮かべる恍惚とした表情を脳裏に描いたとき、ぞくぞくとした感覚が背筋に走った。こんなの初めてだ。あの美しい唇に、例えば突然キスなどをしたら?その真っ赤な口腔内に舌をねじ込んでやったら?組み敷いてやわらかいところに触れたとしたら?みょうじなまえは、どんな顔をして、どんな風に僕を見るのだろう。赤司は思う、そして、ぱたんと本を閉じ喉だけで笑った。自らを神の御座から引きずりおろすなんて。赤司は楽しそうに、笑った。





血液の











に抱












かれる






mokoさん リクエスト ありがとうございました!
(120730)