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朝は目覚ましの大音量で目を覚ます。低血圧だから本当はとてもキツいけど、なんとかすぐにシャワーを浴びて、ドライヤーで髪を乾かす。八割乾いたら、残りを自然乾燥している間に今度はお化粧。あくまでナチュラルに見えるように、でも決して手は抜かない。ビューラーで睫毛がくるんと上を向いた。それから乾いた髪をコテでふわふわやんわりと巻く。できあがった髪の毛はまるでパーマをかけているみたい。でもパーマはかけないの。だって彼が指を絡ませて梳いてくれるこの髪がキシキシと傷んでいたらイヤでしょ?そんなの私も、イヤ。お母さんの作ってくれた朝食を食べて、二階に上がる。もちろんお母さんが作ってくれたお弁当を持ってあがるのを忘れない。お弁当箱も箸入れもお揃いのピンクの水玉。前に彼が可愛いと褒めてくれたから、最近はこればっかり使ってる。自室に戻って制服をもう一度チェック。スカートの長さは大丈夫かな、短すぎないかな。かと言って長すぎるのも問題だ。そこらへんのアンバイがまた難しいのだ。ハイソックスを足がちょうど一番細く見えるところまで上げる。なんだか今日、足がむくんでるなあ。昨日の夜水を飲みすぎたのかもしれない。なんとか全てチェックを終えて、鏡の中の自分をもう一度まじまじと見つめる。うーん、まあ、及第点かな。足のむくみは改善の余地アリ。

ぴんぽーん

そうしてるうちに一階からチャイムが鳴る。ああどうやら彼のお出ましだ。制汗剤持った?日焼け止め持った?オッケー、全部持ってる。昨日とまるで中身が同じなままのカバンを掴んで、急いで階下に降りる。早く、早く、会いたいな。玄関に準備しておいたハンカチを一枚掴んで、ブレザーのポケットに仕舞った。踵を潰さないように気を付けながらローファーを穿く。あ、やっぱりちょっと足、むくんでる。一息ついて、深呼吸して、ガチャリと扉を開ける。「あ。なまえっちおはようっス。今日も可愛いね」それです、それ。その一言があるから、私は早朝から頑張るし、頑張れるのです。今日も私は、出来る限り可愛く見えるように、目を細める。

「おはよう、涼太くん」

女の子だって武装してる。私たち、ただ柔らかいだけのイキモノじゃない。好きな人に好きであり続けてもらうためなら、砂漠の真ん中でだって灼熱の太陽の下でだって、分厚い鎧を被れるの。



戦闘型恋愛思考

そして好きな人の前だけでその鎧を脱げるって、知ってた?


(120627)