そんなこんなで、お母さん、私、海にいます。 「綺麗ねー!」 リコが海を見つめて叫ぶ後ろで私はぶつぶつ悪態をついていた。なんで私ここにいんの!?あのあとも一生懸命弁解したしなんとしてでも抵抗したのになぜか私はここにいた。 「あ、部員たち電車で来るからね、さっ準備しちゃいましょ!」 「はいはーい…」 「なーによあんた暗いわよ!ウザッ」 「なにこれ!?理不尽じゃない!?」 リコのお父さんに送ってもらってようやく民宿に到着していた。相変わらず子煩悩なお父様だ。下手するとあれってストーカーじゃね?っていうレベル。 「てかさあ…リコちゃん、私たち、ここで寝泊りすんの?」 「当たり前じゃない!」 「(嘘でしょ…さよなら私のクーラー生活!)」 「財布に優しーい宿よ!(はあと)」 「ねえウザいからやめてくんねーかなその(はあと)ってやつ!」 「さーあ準備しましょう〜」 帰りたいんですけど…!! 先に行くリコに向かってぎりぎりと歯ぎしりをしていると後ろから野太い声が聞こえた。 「う〜ん…ビミョー……」 「つーかぼれぇ〜…」 「すいませんトイレは」 「うるっせぇよオマエら!!」 どうやら誠凛バスケ部が到着なさったみたいです。振り返ると、やっぱり威圧感すごい…ビビッて少し腰が引ける。 「あ、先輩、ほんと今回はありがとうございます」 ビビッていると一年生らしき男の子から声をかけられた。随分かわいい顔をしているがガタイがいいので、やっぱり男の子だなあと思った。 「うん…来たくなかったんだけどね!」 「ははは、すいません、でも…」 彼は笑ったかと思うと、遠い目をした 「先輩が来ないと俺ら、死んでましたから」 リコの料理どんだけなんだよ…こんな心の綺麗そうな子にこんな死んだ魚の目をさせるほどの威力だったの!? 「あ、名前聞いてもいいかな?」 「あ、すいません自己紹介遅れました。俺、降旗です。降旗光樹っていいます」 「降旗君ね…おっけ!多分覚えた」 「先輩の名前も聞いてもいいですか?」 「あー…うん、私のことはマネージャーとでも呼んでくれればいいよ」 出来ればこの合宿の後関わりたくないしね! 「…?わかりました、よろしくお願いします!」 「さ、海行くわよ!あんたも荷物持って!ほら!」 「うわー嘘でしょリコちゃん焼けちゃうよ、私焼け死んじゃうよ…」 「大丈夫、骨は拾ってあげるから!」 こんな不本意な形で今年初の海に行くとは私、正直思ってなかったよ…! 別名名前変換を使わずにどこまでかけるかっていう挑戦。 (120612) |