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☆イケメンが登校してるよ!


今日は何を隠そうオレ、黄瀬涼太の誕生日だ。朝から考えていたのは彼女であるなまえっちのこと。昨日の帰りには明日楽しみにしててね!一生忘れられない誕生日にしてあげる!と息巻いていた。昨日時点で既に可愛いのだから困ってしまう。いや、昨日時点じゃなくて常に可愛いのだけど。世間でどんなにキャーキャー言われていてもオレもやっぱり思春期なわけで、ムフフなお年頃なわけで、そういうことも考えちゃうわけで、透けた下着にドキッともしちゃったりするわけで、つまり何を言いたいかというと今日こそ一線を越える期待をしていたりしていなかったりすおーっす黄瀬えー「痛いっすよ!?」そんなことを考えながら通学路を歩いていると後ろから青峰っちに盛大に蹴られた。あれ!?オレ今日誕生日じゃなかったスっけ!?


「青峰っちぃ…痛いっスよお。オレ今日誕生日なのに!」
「泣き真似ウゼえから止めろ。てかそうなの?」
「知らなかったんっスか…」
「おはようきーちゃん!」
「あ、桃っちおはよう!も、桃っちは今日何の日か分かるよね!?」
「もっちろん!わからないわけないじゃない!」
「さっすが桃っち!!」
「今日はね、アレでしょ。おにぎりの日!町内の遺跡で日本最古の「おにぎりの化石」が発見されたことから「おにぎりの里」として町起こしをしている石川県鹿西町が制定したらしいよー。おにぎりの化石ってなんだろねー」
すごいいい笑顔で何言ってんのこの人!?
「へーそうなんだ、知らなかったわ。やっぱりさつきは物知りだな」
「青峰くんはちょっとくらい勉強した方がいいと思うよ」
「そこ!普通に話し進めないでほしいっス!てか桃ちんに至っては夜中普通にメールくれたじゃん!?」
「えー?なんのことー?」
確信犯っスか…!
「朝からギャーギャーうるさいのだよ、静かに登校しろ、人事は尽くせ」
「あ、みどりんおはよー」
「朝っぱらからめんどくせえ奴だな」
「緑間っちおはようっス!」
「おはよう。一つ歳をとったというのに黄瀬は相変わらずうるさいな」
「…緑間っちさすがっス!」
「だ、抱きつくな!ウザいのだよ…!」
「ちょっと、ここをどこだと思ってるんですか?公道ですよ」
「あ、黒子っちぃ!おはよう!」
「テツくんおはよーう!」
「おうテツ」
「どうしてみなさん一緒にいるんですか?」
「一緒に来たつもりはないのだよ」
「黒子っち黒子っち!今日って何の日か知ってるよね!親友スもんね!」
「知ってますよ。おにぎりの日ですよね?」
それ共通認識なの!?
「あ、あと黄瀬くん」
「え?なんスか」
「親友じゃないです」
なんでわざわざ溜めたんスか…!?
「おはようみんな」
「おはよ〜う」
「お前ら…ほんっと仲いいな」
「たまたまそこで会っただけだよ」
「むしろみんなこそなんで集合してんの〜?」
「赤司っち紫っち!今日何の日か知ってるっスよね!」

「…あ、はい、なんかもうそれでいいっス…」


☆そんなこんなで全員集合しちゃったよ!


「へー、みょうじがそんなことを言ってたとはねえ」
「はい、だからすごい楽しみなんス!」
「くっそなんだよ彼女持ち。死ね
「青峰っちそれ完全に私怨っスよね!」
「涼太〜!みんな〜!おっはよう!」
「あ、なまえっち!!おはようっス」
「なまえおはよう〜」
「さつき、なんで今日こんな大所帯なの?」
「うん、よくわかんない!おにぎりの日だからじゃない?」
「(おにぎりの日…?)そっかあ、バスケ部は仲良しなんだね!」
「てーかさあ…黄瀬はあれを通り抜ける気なのか?」
「…なんスかあれ」
「お前のファンとやらに決まっているだろう。馬鹿なのか?」
「…黄瀬くんは本当に迷惑な人ですね」
「…みょうじ、刺されるかもね」
「赤ちん物騒〜」

校門付近に人だかりができて黄色い声が飛び交っている。女の子ばかりがわらわらといることがなんとか確認できた。いや、百歩譲ってそれはいいとしよう。問題は、あそこを潜り抜けないと学校内には入れないということだ。

「うわあ…どうしよう」
「…ふう、俺たちの出番らしいな」
なんで青峰っちはドヤ顔なんスか!?
「黄瀬ぇ!ここは任せて先に行けえ!!」
本当に言いたいだけでしょ!?
「黄瀬くん、本当に早く行ってください。みょうじさんのためにも」
「黒子っち…?」
「最悪緑間くんに裸踊りでもさせますから」
黒子は何を言ってるのだよ!!!
それは正直見たいっス…!

☆そうこうしている間にも校門が近づいてきちゃうよ!

「…なまえっちゴメン、」
「へ?」

オレはブレザーを脱いで(今日はたまたま着てきていた)、なまえっちの頭にかける。そのままなまえっちの手を引いて校門を走り抜ける。なんとか通り抜けることができたようだ。後ろを振り返るとなんとかみんなが躍起になっているらしい。ふと、六人がこちらを見て、声を揃えて叫んだ。





「…!」「よかったね!」…オレ、帝光バスケ部で良かったっス…!

☆人目の付かない校舎裏に来たよ!

「ごめんなまえっち…迷惑かけて」
「そんなことないって、気にしないでよお」
「でも…」
「彼氏が女の子に人気なんて、そんなに誇らしいことはないよ」
「そういうもんっスかあ…?」
「そういうもんなの!」
「…オレにはワカンネーっス」


「うん、だからね涼太、誕生日おめでとう!大好き!」


なまえっちがにっこりと笑う。満面の笑みが顔全体に広がっている。「ありがとう…なまえっち…」あれ、なんだか涙が出てきた。「わあ、涼太泣かないでよー!」彼女が慌てたような声をあげるから、オレも慌てて鼻を啜る。

☆イケメンが感動で泣いちゃったよ!

「じゃあなまえっち、…キスしてもいいですか…?」
「こ、ここ学校だよ?」
「いーじゃんいーじゃん!」

そういってオレは屈む。彼女も観念したように目を閉じて少し背伸びをした。爪先立ちの体はふるふると不安定で、オレの服を掴むことでようやく立っていられるらしい。そんなことをしなくてもオレ、ちゃんと屈むっスよ?彼女の髪をかき分けて顎に手をやる。そおっと顔を近づけて二人の距離がゼロになってなーにしてンだお前…あれ?


「不純異性行為なのだよ」
「黄瀬くんってTPOも分からないんですね」
「黄瀬ちん変態だねー」
「ちょっと何してんのよきーちゃん続けて!」
「桃井、ちょっと黙ろうか、おい勝手に部費で買ったIC機器をフル動員するな。あと黄瀬、」


「…練習のとき分かってるよな?(にこり)」



「…げ、みんな…」
「あ…あ…もう、なんでみんな邪魔するんスかああああああ!


☆結局幸せらしいよ!



TEIKO!




HAPPY BIRTHDAY 黄瀬!
(120618)